麻酔・集中治療 高IF誌 週刊ダイジェスト 2026-07-06

対象28誌 / 直近7日 / 要約 56件

今週の注目
高リスク高血圧患者の術中MAP目標 ≥80 vs ≥65 mmHg(HISTAP、伊18施設RCT・630例): 60歳以上・慢性高血圧・追加リスクをもつ大腹部手術患者で、術中MAP≥80を目標にすると主要複合アウトカム(術後死亡+主要臓器障害)が38.1% vs 48.9%(相対リスク0.78、95%CI 0.65–0.93、P=0.006)に減少。主にAKI(23.5% vs 33.7%、P=0.005)の抑制による。連続モニタリング・プロトコル化輸液下での結果だが、離島でも動脈ライン+昇圧薬でMAP≥80を狙う価値を支持。PMID 42370999
急性呼吸不全への非侵襲的呼吸補助(NIRS)ATS臨床ガイドライン(GRADE): 低酸素性呼吸不全にはHFNC強く推奨・NIV/CPAP条件付き、高二酸化炭素性にはNIV強く推奨(死亡・挿管減)、挿管前酸素化にHFNCまたはNIV強く推奨、抜管後は低リスクにHFNC・高リスクにNIV。1人でRSIや呼吸不全対応をする際の意思決定の骨格になる。PMID 42371750
導入時の単回メサドンとQTc(BJA、前向きコホート547例): 麻酔導入時にメサドン静注(中央値20 mg)してもQTcF>500 msの新規発生は2.5%で、非投与(多くはフェンタニル)8.3%より少ない(RR 0.34、95%CI 0.16–0.75、P=0.009)。用量とQTcの相関なし。周術期鎮痛にメサドン単回投与を用いる際のQTc懸念を和らげる実務的エビデンス。PMID 42399190
導入時マスク換気中のPEEPをEITで可視化(Anesth Analg、RCT・72例): FiO2 100%マスク換気で PEEP 0/5/8 mbar を比較。PEEPを上げると背腹側換気勾配・呼気終末肺インピーダンス・コンプライアンスが有意に改善(いずれもp≤0.011)し、血行動態悪化なし。導入時の無気肺形成をベッドサイドで抑える具体策。PMID 42378500
未熟者による気管支鏡挿管:あらかじめ決めた深さまで挿入(J Anesth、RCT・50例): 硬口蓋沿いに口角–耳珠間距離ぶん挿入する群は、舌正中挿入群より声門視認成功(24/25 vs 17/25、P=0.02)・挿管成功(18/25 vs 8/25、P=0.01)が高く、視認時間・無呼吸時間も短縮。困難気道の気管支鏡挿管を単独で行う際の簡便なコツ。PMID 42397596

Lancet Respiratory Medicine(IF 32.8)

1. 小児肺塞栓をベッドサイドで被曝なく除外するPERC-Pedsルール(BEEPER、米21施設前向き診断精度研究)

Lancet Respir Med (IF 32.8) | PMID 42398511 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42398511/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
救急で肺塞栓(PE)が疑われる4〜17歳の小児を対象に、小児用PE除外基準(PERC-Peds)が安全にPEを除外できるかを検証した米21施設の前向き診断精度研究。2020年7月〜2024年9月に4039例を登録、4011例を判定。年齢中央値15歳、女児64.0%。45日以内のPEまたは近位DVT(静脈血栓塞栓症)は253例(6.3%、95%CI 5.6–7.2)。PERC-Pedsの感度99.6%(95%CI 97.8–100.0)、特異度19.6%、偽陰性率0.1%(0.0–0.8)。D-dimerは78.8%で施行。PERC-Peds→D-dimerの逐次適用で54.3%を除外でき偽陰性率0.9%。PERC-Peds陰性は小児PEを安全に除外し、低価値な画像検査を減らしうる。

PICO

  • P: PEが疑われ救急を受診した4〜17歳の小児4011例
  • I: PERC-Pedsルール(±D-dimer)による除外
  • C: 45日以内の画像確定PE/近位DVT(独立委員会判定)を基準
  • O: 感度99.6%・偽陰性率0.1%。陰性なら安全に除外可能

すでに知られていること: 成人のPERCは確立するが、小児PEの除外ルールのエビデンスは乏しかった。
本研究で明らかになったこと: PERC-Pedsは小児PEを高感度で安全に除外でき、不要な検査削減につながりうる。


Intensive Care Medicine(IF 21.2)

1. 病院前の気道・換気管理(協働ナラティブレビュー)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42390593 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390593/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
病院前の気道・換気管理は頻度が高く重大かつ技術的に困難で、環境制約・資源不足・術者経験のばらつき、国ごとの体制差(救急救命士主体〜医師主導)が実践と転帰の不均一を生む。適応・タイミング・生理学的最適化・手技・挿管後管理を概説。気管挿管は適切な適応と訓練された術者が行えば依然として確定的戦略で、適応は重症外傷・外傷性脳損傷・院外心停止・昏睡だが、昏睡の中毒患者での役割は疑問視が増している。挿管前の生理最適化(NPPVでの前酸素化、導入〜喉頭鏡までのバッグマスク換気、周挿管期の血行動態を守る鎮静薬選択)が転帰を左右する過小評価された鍵。挿管失敗時はビデオ喉頭鏡・声門上器具・輪状甲状膜切開の段階的エスカレーションを準備。院外心停止では声門上器具が神経学的生存同等で留置も速く有効な一次代替。NIV(CPAP/BiPAP)は心原性肺水腫・COPD増悪で挿管・死亡を減らす。HFNOは院内エビデンスは強いが病院前データは極めて限られる。悪化時は非侵襲的補助が挿管を遅らせてはならない。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 病院前の気管挿管・NIV・HFNOの適応とベストプラクティス)

すでに知られていること: 病院前の気道管理は困難で体制差が大きいが、統合的な最良実践の整理は限られていた。
本研究で明らかになったこと: 挿管前生理最適化と段階的バックアップの重要性、心停止での声門上器具の位置づけ、HFNOの病院前エビデンス不足を整理。

2. 敗血症へのクリニカル・メタゲノミクス介入の臨床・費用・QOL効果(DigiSep、独24ICU RCT)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42377463 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42377463/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
敗血症・敗血症性ショックで、微生物の循環セルフリーDNAをメタゲノム次世代シーケンス(mNGS)で検出すると転帰・QOLが改善しコスト増もないかを検証した独24ICUの無作為化非盲検試験。介入群(n=200、標準微生物検査+mNGS)vs 対照群(n=189、標準のみ)。主要評価項目のDOOR/RADARスコアは28日で有意差なし(3.21±1.54 vs 3.49±1.51)。ただし二次評価項目で人工呼吸期間短縮(6.6±9.4 vs 9.3±10.6日)、ショック離脱の短縮(6.9±7.4 vs 8.8±8.5日)、90日QOL(EQ-5D-5L)改善(0.312 vs 0.208、p=0.047)。医療費(180日、claimsあり33.2%)は差なし。

PICO

  • P: 敗血症・敗血症性ショックの成人389例
  • I: 標準微生物検査+mNGS診断
  • C: 標準微生物検査のみ
  • O: 主要のDOOR/RADARは有意差なし。二次で人工呼吸・ショック期間短縮とQOL改善、費用増なし

すでに知られていること: 敗血症では早期の病原体同定が重要で、mNGSへの期待があった。
本研究で明らかになったこと: 主要評価項目は改善せず。探索的に一部の二次アウトカムが改善したが、確証には至らない。

3. 重症患者の神経学的合併症の負担と危険因子(総説)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42377460 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42377460/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
神経学的合併症は重症患者に多く、罹病・死亡・長期障害の主要因として認識が高まっている。一次性の神経疾患がなくても、低酸素・血行動態不安定・炎症・代謝異常により全身性重症病態が脳へ大きな生理的ストレスを与える。せん妄・脳卒中・痙攣・神経筋障害は多臓器障害の頻繁な神経学的表現で、ICU滞在延長・持続的認知障害・機能回復不良と関連。標準化せん妄スクリーニング、鎮静薬の慎重な使用、不動・睡眠障害・感覚障害の緩和など修正可能因子への標的戦略が進む。しかし定義・監視・アウトカム測定のばらつきが真の負担の推定を妨げ、過小認識に寄与しうる。疫学・表現型・危険因子の現状を統合し、知識の空白と今後の研究優先課題を提示。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 重症患者の神経学的合併症の疫学・表現型・危険因子)

すでに知られていること: せん妄など神経合併症はICUで多いが、定義・監視のばらつきで真の負担が不明確だった。
本研究で明らかになったこと: 修正可能因子への標的戦略の意義と、機序理解・因果推論の限界を整理し研究優先課題を提示。

4. 二次性血球貪食性リンパ組織球症の経過・死亡を予測する機械学習ツール(HLH-Risk-Calculator)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42377458 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42377458/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
二次性HLH(sHLH)は致死的な過炎症病態。経過と時点別転帰の両方を予測する機械学習ツールを開発。欧州3か国6施設の成人sHLH 167例を後ろ向きに用い、初期重症度(IDS=ICU入室 or 90日以内死亡)と各時点(30/60/90/180/365日)死亡をランダムフォレストで予測。ホールドアウト検証(IDS n=32、死亡 n=43)で高い識別能。可溶性IL-2受容体(sIL-2R)とアルブミン(IDS)、sIL-2Rと血小板数(死亡)が最も寄与。www.hlh-risk-calculator.com で研究用に公開(臨床判断用ではない)。外部検証が必須。

PICO

  • P: 欧州6施設の成人sHLH 167例
  • I/曝露: 8項目の臨床・検査値に基づく機械学習予測
  • O: 初期重症度・時点別死亡を高い識別能で予測。sIL-2R・アルブミン・血小板が主要因子

すでに知られていること: sHLHの診断スコアは少数あるが、経過と時点別転帰を予測するものは存在しなかった。
本研究で明らかになったこと: MLで経過・死亡を予測可能。ただし探索的で外部検証前は臨床適用不可。

5. 肥満患者のECMO:エビデンスと実践(総説)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42371000 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42371000/ | 2026 Jun 29

和訳アブストラクト
重症呼吸・心不全でECMOを要する患者に肥満が増えている。肥満は呼吸・循環生理と薬物動態を変え、患者選択・導入・カニュレーション・抗凝固・モニタリングを難しくする。VV/VA ECMOでの疫学・生理的影響・転帰・管理を総括。主に後ろ向き・BMI分類に基づくエビデンスでは、肥満はVV-ECMOの禁忌とすべきでなく、転帰は非肥満と同等かむしろ良好の可能性。ただし肥満関連の呼吸メカニクスが肺傷害の見かけの重症度を誇張しうるため、ECMO導入前に従来のARDS管理(適切な換気戦略・腹臥位)を最適化すべき。VA-ECMO(特にECPR)の転帰はより不均一。個別化したカニュレーション・抗凝固・灌流戦略が必要。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 肥満患者のVV/VA ECMOの適応・技術的課題・転帰)

すでに知られていること: 肥満はECMOを技術的に難しくし、禁忌視されることもあった。
本研究で明らかになったこと: 肥満単独はECMO(特にVV)の禁忌でなく、転帰は同等以上。導入前のARDS最適化と個別化管理が鍵。

6. 高リスク高血圧患者の大腹部手術における高値 vs 標準の血圧目標(HISTAP、伊18施設RCT)

Intensive Care Med (IF 21.2) | PMID 42370999 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42370999/ | 2026 Jun 29

和訳アブストラクト
大腹部手術を受ける高リスク高血圧患者の最適な術中MAP目標は不明。術中MAP≥80 vs ≥65 mmHgが術後臓器障害と30日死亡を減らすかを検証した伊18施設RCT(2023年3月〜2025年4月)。60歳以上・在宅治療を要する慢性高血圧・追加高リスク基準1つ以上の予定大腹部手術患者が対象。636例無作為化、630例をITT解析(年齢中央値74歳)。術中平均MAPは対照77±7、治療88±9 mmHg。主要複合アウトカム(術後死亡+主要臓器障害1つ以上)は対照48.9% vs 治療38.1%(相対リスク0.78、95%CI 0.65–0.93、P=0.006)。AKIは治療群で有意に少ない(23.5% vs 33.7%、P=0.005)。

PICO

  • P: 60歳以上・高リスク高血圧の予定大腹部手術患者630例
  • I: 術中MAP≥80 mmHg目標
  • C: 術中MAP≥65 mmHg目標
  • O: 主要複合アウトカム減少(RR 0.78)、主に軽中等度AKIの減少による

すでに知られていること: 術中低血圧は臓器障害と関連するが、高リスク高血圧患者での至適MAP目標は不明だった。
本研究で明らかになったこと: MAP≥80目標は主要臓器障害(特にAKI)を減らす。連続モニタリング・プロトコル輸液下での知見。


American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(IF 19.4)

1. 軽症の免疫関連肺臓炎へのステロイド:3週間 vs 6週間(無作為化試験)

Am J Respir Crit Care Med (IF 19.4) | PMID 42398004 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42398004/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
免疫チェックポイント阻害薬関連肺臓炎の至適ステロイド期間は不明。軽症(CTCAE Grade 1-2)で3週間漸減が6週間漸減に非劣性かを検証。106例を無作為化(年齢中央値72歳、Grade 2が73%)。8週時の治療成功率(安静時室内気SpO2≥90%かつ増悪によるステロイド増量・延長なし)は3週群66.7% vs 6週群85.2%で、非劣性は示されず(差−18.5ポイント、80%CI −29.0〜−7.9、P=.621)。事前規定の探索解析では6週群の優越性(P=.013)。Grade≥3有害事象は3週12% vs 6週24%(いずれも対応可能)。全生存は同等(HR 1.03)。

PICO

  • P: 軽症の免疫関連肺臓炎106例
  • I: 3週間ステロイド漸減
  • C: 6週間ステロイド漸減
  • O: 3週は非劣性を示せず、6週が優越。6週間を標準として支持

すでに知られていること: ICI関連肺臓炎のステロイド期間はガイドラインで6週間が推奨されるが、無作為化エビデンスはなかった。
本研究で明らかになったこと: 3週間短縮は6週間に非劣性でなく、むしろ6週間が優越。6週間がエビデンスに基づく標準。

2. 特発性肺線維症の診断・転帰とポリジェニックリスクスコア(4コホートのメタ解析)

Am J Respir Crit Care Med (IF 19.4) | PMID 42391602 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42391602/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
特発性肺線維症(IPF)の遺伝マーカーを集約したポリジェニックリスクスコア(PRS)を、実臨床の電子カルテデータで検証。4つの独立コホート(MGBB、MCBB、Tapestry、UKBB)でPRSとカルテ診断IPF・肺移植なし生存の関連を多変量回帰・メタ解析。各コホートの参加者は37,709/44,195/43,202/447,422例、IPF診断は2.7%/6.5%/3.0%/0.6%。高リスクPRSはIPF診断と関連(OR 2.88、95%CI 2.41–3.44)、IPF患者では死亡or肺移植の複合とも関連(HR 1.23、95%CI 1.11–1.35)。バイオバンク規模でPRSがIPFリスク・死亡を層別化しうる。

PICO

  • P: 4バイオバンクの計約57万例
  • 曝露: IPFのポリジェニックリスクスコア(高リスク)
  • O: IPF診断(OR 2.88)と死亡/肺移植(HR 1.23)の上昇と関連

すでに知られていること: PRSは十分に表現型化された研究コホートでIPFと関連することが示されていた。
本研究で明らかになったこと: 実臨床の電子カルテデータでもPRSがIPF診断・予後を層別化でき、臨床応用の可能性を示唆。

3. COPD患者の侵襲性肺アスペルギルス症の診断基準(国際専門家Delphi)

Am J Respir Crit Care Med (IF 19.4) | PMID 42384914 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42384914/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
COPDは4億人超で、増悪は大きな負担。入院増悪のCOPDで侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)の全体発生率は1〜4%だが、特定因子で頻度が大きく上がる。危険因子は全身/高用量吸入ステロイド、気管支拡張症・糖尿病・心血管疾患などの併存、長期抗菌薬。非人工呼吸のCOPD患者向けにIPA診断基準をDelphi法で策定。上記危険因子2つ以上をもつCOPD入院増悪では、①胸部CT、②呼吸検体の真菌直接鏡検・高容量培養・可能ならAspergillus PCR(気管支鏡検体ならガラクトマンナンも)、③血清ガラクトマンナンとAspergillus IgGを送る。高リスクCOPD+合致する画像異常+Aspergillusの2検査陽性で、抗真菌療法開始に足るIPA診断が可能。

PICO

  • P: 入院増悪の非人工呼吸COPD患者
  • I/検査: 危険因子2つ以上を契機としたCT+呼吸検体・血清検査の組み合わせ
  • O: 画像+2検査陽性でIPA診断(治療開始/研究登録に十分)

すでに知られていること: COPD増悪でIPAは起こるが、非人工呼吸例の標準的診断基準がなかった。
本研究で明らかになったこと: 危険因子・画像・検査を組み合わせた実用的診断基準を提示。各検査の性能・検証は今後の課題。

4. 成人急性呼吸不全への非侵襲的呼吸補助:ATS公式臨床ガイドライン

Am J Respir Crit Care Med (IF 19.4) | PMID 42371750 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42371750/ | 2026 Jun 29

和訳アブストラクト
急性低酸素性・高二酸化炭素性呼吸不全はICU入室・人工呼吸の主要因。非侵襲的呼吸補助(NIRS:HFNC、NIV、CPAP)は挿管回避・転帰改善・ICU利用削減の可能性があるが、患者・モダリティ選択の不確実性から実装がばらつく。多職種パネルがGRADE法で4つのPICOに回答。急性低酸素性呼吸不全にはHFNCを強く推奨・NIV/CPAPを条件付き推奨(主に挿管必要性への効果、要注意監視のうえ)。急性高二酸化炭素性呼吸不全にはNIVを強く推奨(死亡・侵襲的換気を減らす)、軽度高二酸化炭素・軽度アシデミア(例pH>7.25)のみHFNCを条件付き推奨(近接監視とNIVへの迅速移行が可能なら)。挿管前酸素化にはHFNCまたはNIVを強く推奨。抜管後は低リスクにHFNC・高リスクにNIVを提案(再挿管回避)。

PICO

  • P: 急性呼吸不全の成人
  • I: HFNC・NIV・CPAPなどのNIRS
  • C: 従来の酸素療法/戦略
  • O: 病態別のGRADE推奨(低酸素性=HFNC強、高二酸化炭素性=NIV強、挿管前=HFNC/NIV強、抜管後=リスク別)

すでに知られていること: NIRSは有効だが、病態横断的に各モダリティの使い分けを包括するガイドラインはなかった。
本研究で明らかになったこと: 病態別・場面別(挿管前・抜管後含む)にNIRSの使い分けをGRADEで整理した実装可能な推奨を提示。

5. 睡眠中の呼吸努力がOSA疑い患者の死亡を予測する

Am J Respir Crit Care Med (IF 19.4) | PMID 42371748 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42371748/ | 2026 Jun 29

和訳アブストラクト
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は過度の陰性胸腔内圧・低酸素などを介し罹病・死亡リスクを高める。呼吸努力の代理指標である食道内陰圧(PES)と長期全死亡の関連を、OSA疑いで一晩の呼吸ポリグラフ+PES測定を受けた患者で評価。16,083例(女性26%、年齢中央値48歳)、PES中央値12.8 cmH2O、AHI中央値10(16%がAHI≥30)。追跡中央値15年で1,497例(9.3%)死亡。年齢・性・BMI・併存・AHI・平均SpO2で補正後もPES第3四分位で死亡リスク上昇(HR 1.21、95%CI 1.03–1.43、P=.024)。高いPES閾値を超える時間が長いほど死亡増。

PICO

  • P: OSA疑いの16,083例
  • 曝露: 睡眠中の食道内陰圧(PES=呼吸努力)
  • O: PES高値が全死亡と独立に関連(AHI・低酸素を超える予後情報)

すでに知られていること: OSAの重症度はAHIや低酸素で評価されるが、呼吸努力そのものの予後的意義は不明だった。
本研究で明らかになったこと: PESで測る呼吸努力はAHI・低酸素を超えて全死亡を独立に予測。総合評価の一要素となりうる。


Critical Care(IF 9.3)

1. βラクタムを最高濃度で持続投与するとICUの炭素排出を減らす(前後比較)

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42399992 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42399992/ | 2026 Jul 04 🔓無料全文

和訳アブストラクト
βラクタムは重症患者で最も使われる抗菌薬。持続投与のための調製法は薬剤の安定性で決まる。4種の一般的βラクタムについて、50 mLシリンジで安定な最高濃度を調製して持続投与する「持続可能プロトコル」を導入し前後比較。418例(2024年202例、2025年216例、年齢・SAPSIIは同等)。温室効果ガス排出は52%削減(2760→1380 g/治療、p<0.0001)、プラスチック消費は−48%(−61 kg)、費用も−48%(−1324€)、調製の看護時間は6か月で145時間短縮。

PICO

  • P: βラクタム持続投与を受けるICU患者418例
  • I: 最高安定濃度・50 mLシリンジでの持続投与プロトコル
  • C: 従来の希釈・調製法
  • O: 温室効果ガス−52%、プラスチック−48%、費用−48%、看護時間短縮

すでに知られていること: 重症患者のβラクタム持続投与は薬力学的利点があるが、環境・コスト面は注目されていなかった。
本研究で明らかになったこと: 高濃度・少量調製の持続投与は排出・廃棄・費用・看護負担を大きく減らせる。

2. 人工呼吸中ICU患者への気道クリアランス手技の生理・臨床効果(システマティックレビュー)

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42399982 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42399982/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
分泌物貯留は侵襲的人工呼吸中のICU患者に多い。気道クリアランス手技(ACT)は広く使われるが生理・臨床効果は不確実。人工呼吸器ハイパーインフレーション、PEEP-ZEEP法、呼気時胸郭圧迫(ERCC)、機械的排痰補助(MI-E)を評価。46研究1,884例を解析(メタ解析なしの統合)。ERCC・MI-E・ハイパーインフレーションは一部研究で分泌物クリアランス増加と関連、PEEP-ZEEPは一貫せず。呼吸メカニクス・酸素化・臨床転帰への効果はばらつき主に短期的。死亡・人工呼吸期間・ICU滞在に明らかな効果なし。重大な有害事象の報告なし。

PICO

  • P: 侵襲的人工呼吸中の成人ICU患者1,884例(46研究)
  • I: ACT(ハイパーインフレーション、PEEP-ZEEP、ERCC、MI-E)
  • C: 標準ケア/吸引単独
  • O: 短期の分泌物クリアランス改善の可能性。臨床転帰への効果は低確実性で不明

すでに知られていること: ACTは広く用いられるが、生理・臨床効果のエビデンスは不確実だった。
本研究で明らかになったこと: 短期の分泌物クリアランスは改善しうるが、死亡・人工呼吸期間など臨床的に重要な転帰への効果は低確実。

3. 高分解能モニタリングが明かすICUの断片化した24時間光曝露(観察研究)

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42393760 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42393760/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
光は概日リズム・睡眠・神経内分泌機能の主要調節因子で、異常な光曝露はせん妄・不良転帰と関連。従来のICU研究は平均値や低時間分解能に依存し、臨床的に重要な曝露パターンを見落としていた可能性。成人ICU患者で環境照度を5秒ごとに1年間連続記録。222例を最大7日間、1400万超の測定。日中(07:00–20:59)照度は屋内作業環境よりはるかに低く、夜間(21:00–06:59)は頻回・短時間の光イベントが優勢で夜間の暗闇が著しく断片化。断片化パターンは部屋構成・治療強度と概ね独立。

PICO

  • P: 成人ICU患者222例(1400万測定)
  • 曝露: 高分解能で測定した24時間光曝露・夜間断片化
  • O: 日中は低照度、夜間は暗闇の断片化が顕著。概日リズム障害の環境的機序となりうる

すでに知られていること: ICUの光環境は不良と知られていたが、平均値中心で断片化の実態は不明だった。
本研究で明らかになったこと: ICUの光曝露は明るさより「暗闇の断片化」が特徴。ケア過程が介入標的で、断片化指標の活用を支持。

4. 敗血症・心筋障害患者の冠微小循環機能:侵襲的冠生理学研究

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42393752 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42393752/ | 2026 Jul 02 🔓無料全文

和訳アブストラクト
心筋障害は敗血症に多く死亡増と関連するが機序は未解明。冠微小循環障害(CMD)の関与が提唱されるが生体内エビデンスは乏しい。敗血症(Sepsis-3)+心筋障害(hs-cTnT≥15 ng/L)の成人を前向き登録し、冠動脈造影・熱希釈法によるCMD評価・心エコーを臨床安定後に施行。55例が造影、49例がCMD評価完遂。閉塞性冠動脈疾患(CAD)12/55(22%)、CMD 30/49(61%)。hs-cTnTとIMR・MRRに関連なし。CMDは心室動脈カップリング不全・右室収縮障害と関連。敗血症は対照(慢性冠症候群)より冠微小血管拡張能低下(MRR 3.2 vs 4.0)。

PICO

  • P: 敗血症+心筋障害の成人49例
  • 曝露: 侵襲的に測定した冠微小循環機能(IMR/MRR)
  • O: CMDが61%と高頻度・不均一。トロポニンとは無関連。未知の閉塞性CAD 22%を検出

すでに知られていること: 敗血症の心筋障害にCMD関与が疑われるが、生体内での直接評価は限られていた。
本研究で明らかになったこと: CMDは高頻度で表現型が多様だがトロポニンと無関連。閉塞性CADも22%に存在し、鑑別考慮を支持。

5. 小児ARDSの予後層別化を改善するサイトカイン戦略(LEOPARDS)

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42387347 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42387347/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
過炎症はARDS・敗血症など複数の重症病態に共通し予後不良と関連。成人ではIL-6・TNFR1・重炭酸で過炎症性ARDSのシグネチャが記述され予後的有用性がある。これを小児ARDSに適用し、他サイトカインで層別化を改善できるか検討。500例の前向き多施設コホート(LEOPARDS)でARDS発症24時間以内に血漿サイトカイン測定。従来の3項目(IL-6/TNFR1/重炭酸)モデルは90日死亡でAUC 0.62と限定的。追加候補ではCCL7(MCP-3)が90日死亡と最も強く関連(p<0.0001)。CCL7・IL-18の2項目、CCL7・IL-18・TNFR1の3項目モデルは訓練(AUROC 0.72-0.73)・検証(0.66)で識別能を示し再分類が約40%改善。

PICO

  • P: 小児ARDS 500例
  • I/曝露: サイトカインに基づく予後層別化(CCL7・IL-18・TNFR1)
  • O: 従来モデルより90日死亡の識別能・再分類が改善

すでに知られていること: 成人の過炎症性ARDSシグネチャ(IL-6/TNFR1/重炭酸)は予後的有用性がある。
本研究で明らかになったこと: 小児ではCCL7・IL-18を含むモデルが層別化を改善。免疫抑制状態で最適モデルが異なる可能性。

6. ICU環境表面と重症患者間の薬剤耐性伝播のゲノム動態

Crit Care (IF 9.3) | PMID 42380983 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42380983/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
ICUは薬剤耐性(AMR)伝播を助長する複数因子が共存する環境。ICU表面(吸引器・輸液ポンプ・聴診器・透析機・モニタ・人工呼吸器・ガスバルブ)と感染重症患者の検体を採取し、多剤耐性(MDR)分離株にナノポア全ゲノムシーケンス。陽性130株(環境96/患者34)、MDR 40株(30.76%)。最多はKlebsiella pneumoniaeとAcinetobacter baumannii。最頻AMR遺伝子はblaNDM-5・blaOXA-23。透析機・聴診器・患者検体でA. baumannii ST2のクローナルアウトブレイクを検出。吸引器・酸素バルブ・気管分泌でプラスミド接合による水平伝播の証拠。

PICO

  • P: ICUの環境表面と重症患者由来の細菌分離株130株
  • 曝露: ICU環境での耐性遺伝子の伝播動態(全ゲノム解析)
  • O: 表面⇄患者の双方向でAMR遺伝子が伝播。クローナルアウトブレイクと水平伝播を実証

すでに知られていること: ICU環境はAMR伝播の温床とされるが、伝播動態のゲノム的実証は限られていた。
本研究で明らかになったこと: 耐性遺伝子は環境表面と患者の間を双方向に伝播。環境清掃・感染対策の重要性を裏づける。


Chest(IF 8.6)

1. 肺血管疾患患者の高地(2500 m)2日間滞在が右室後負荷と酸素供給に及ぼす影響(無作為化クロスオーバー)

Chest (IF 8.6) | PMID 42398808 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42398808/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
高地は肺血管疾患(PVD)患者に悪影響を及ぼしうるが急性の心肺影響は不明。安定・低リスク・安静時低酸素のないPVD(肺動脈性/慢性血栓塞栓性肺高血圧)患者を470 mからケーブルカーで2500 mへ運び2日間滞在させ、心エコーと動脈血ガスで評価した無作為化クロスオーバー試験。27例(女性44%、61±14歳)。高地曝露で収縮期肺動脈圧が18 mmHg上昇(40%、95%CI 9–28、p<0.001)、全肺抵抗2.8 WU上昇(32%、p=0.007)、TAPSE/sPAP比が0.55±0.04→0.38±0.04に低下(−31%、p<0.001、右室動脈カップリング低下)。動脈血酸素含量は低いが酸素供給量は両高度で同等。

PICO

  • P: 安定・低リスクのPVD患者27例
  • I/曝露: 高地(2500 m)2日間滞在
  • C: 低地(470 m)
  • O: 右室後負荷増大・RV動脈カップリング低下。ただし酸素供給は維持

すでに知られていること: 高地はPVD患者に悪影響を及ぼしうるが、急性の心肺影響の定量は不十分だった。
本研究で明らかになったこと: 2日間の高地滞在で右室後負荷は増すが、全体機能は酸素供給を保つのに十分。低リスク例では過度に恐れる必要は低い可能性。

2. 通常気管支鏡とロボット気管支鏡の放射線被曝の比較研究

Chest (IF 8.6) | PMID 42392503 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42392503/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
通常気管支鏡とロボット気管支鏡(RAB)で術者・スタッフの被曝が異なるかは不明。透視下の54件(通常15、RAB 39:うちC-armトモシンセシス[CABT]27、標準C-arm透視[CF]12)を前向きに解析。1件あたり総被曝はRAB-CABTで最高(0.237 vs 0.065 vs 0.02 mSv、p=0.025)。通常 vs RAB-CFは差なし(p=0.33)。RAB-CABTは甲状腺カラー下の術者皮膚被曝も高い。スタッフ(看護師・技師・病理医・麻酔科医)への被曝はどの手技でも最小。BMI>35でDAP/分が高い。

PICO

  • P: 透視下の気管支鏡54件
  • I: ロボット気管支鏡(CABTまたはCF)
  • C: 通常気管支鏡
  • O: RAB-CABTで被曝増、RAB-CFは通常と同等。スタッフ被曝は最小

すでに知られていること: RABの普及が進むが術者・スタッフ被曝が通常と異なるかは不明だった。
本研究で明らかになったこと: RAB自体は被曝を減らさず、CABT併用でむしろ増加。スタッフ被曝は全手技で最小。

3. 中等症〜重症BPDのSGA/AGA児における肺含気とガス交換(PATH-BPD二次解析)

Chest (IF 8.6) | PMID 42385995 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42385995/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
SGA(在胎不当過小)児はAGA児より気管支肺異形成(BPD)の頻度・重症度が高いが、その呼吸病態の推移は不明。中等症〜重症BPD(msBPD)のSGAとAGAで肺含気・ガス交換の表現型が異なるかを検討したPATH-BPD多施設コホートの二次解析。含気は定量的肺エコー、ガス交換はSpO2/FiO2・PtcO2/FiO2・PtcCO2で評価。347例中、SGAは62例(パーセンタイル基準)/32例(Zスコア基準)。BPD定義・成長分類によらず、肺含気・SpO2/FiO2・PtcO2/FiO2・PtcCO2の推移はSGAとAGAで同様(いずれもp有意差なし)。

PICO

  • P: msBPDの新生児347例(SGA/AGA)
  • 曝露: SGA(出生体重<10パーセンタイル or <−2 Zスコア)
  • O: 肺含気・ガス交換の推移はSGAとAGAで同様

すでに知られていること: SGA児はBPDが重いが、その呼吸病態がAGAと異なるかは不明だった。
本研究で明らかになったこと: msBPDの肺含気・ガス交換の推移はSGA/AGAで同様で、BPD定義・成長分類によらない。

4. 低線量CT肺がん検診陰性後の肺がん罹患・死亡(中国・前向きコホート)

Chest (IF 8.6) | PMID 42385994 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42385994/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
低線量CT(LDCT)検診陰性の長期リスク層別化的価値は不明で、再検診間隔の不確実さにつながる。中国の全国肺がん検診プログラム(2012–2019)データで、40–74歳を非検診・検診陰性・検診陽性・低リスクに分類し、逆確率重み付け+Cox回帰で評価。追跡中央値8.61年、269,173例中、肺がん3,173例・肺がん死2,083例。非検診群比で検診陰性群は肺がん罹患(HR 0.80、95%CI 0.65–0.97)・全死亡(HR 0.77)が低く、肺がん特異死亡は有意差なし(HR 0.88)。リスク低下は最初の3年で最も顕著。喫煙継続者の検診陰性は低リスク群より長期罹患リスクが高い。

PICO

  • P: 40–74歳の検診対象269,173例
  • 曝露: LDCT検診陰性
  • C: 非検診群/低リスク群
  • O: 検診陰性は概ね低リスク群と同等の長期リスク。一律の毎年再検診よりリスク層別化を支持

すでに知られていること: LDCT陰性後の長期リスク・至適再検診間隔は不明確だった。
本研究で明らかになったこと: 検診陰性は概ね低リスク群と同等の長期リスク。ただし喫煙継続者は例外で、リスク層別化フォローを支持。

5. 肺がん検診参加者の症状有病率と肺がんリスクへの影響(SUMMIT)

Chest (IF 8.6) | PMID 42379289 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42379289/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
肺がん検診は無症状者に行うのが通例だが、肺がん症状は慢性疾患と重なり「無症状」の定義が難しい。LDCT検診の実装を評価する前向き観察コホートSUMMITで自己報告症状・既往・スパイロメトリーを収集。喀血(過去1年)・意図しない体重減少(3か月で≥5 kg)を赤旗症状、咳・呼吸困難(mMRC≥1)を非特異症状とし1年以内の肺がん診断を確認。13,035例中76%が1つ以上の症状(咳36%、呼吸困難66%、赤旗症状6%)。いずれかの症状は1年以内の肺がん診断と関連(OR 1.45、p=0.03)。

PICO

  • P: 肺がん検診参加者13,035例
  • 曝露: 呼吸器症状・赤旗症状の有無
  • O: 症状ありは1年以内の肺がん診断リスク上昇(OR 1.45)

すでに知られていること: 検診は無症状者対象だが、症状は慢性疾患と重なり定義が難しかった。
本研究で明らかになったこと: 検診参加者の多くが症状をもち、症状ありは肺がん診断の可能性が高い。無症状の定義の再考を促す。


Critical Care Medicine(IF 6.0)

1. 院外心停止へのECPR戦略導入の費用対効果モデリング(シンガポール)

Crit Care Med (IF 6.0) | PMID 42378681 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378681/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
難治性院外心停止(OHCA)へのECPR戦略が、ルーチンで使わない現行実践に比べ費用対効果があるかを、決定木+マルコフモデルで生涯地平・医療提供者視点で評価。初期ショック可能リズムかつ病院前ROSCなしの非外傷成人OHCAが対象。現行の推移確率はシンガポール全国レジストリ(PAROS 2010-2016)、ECPR転帰は大阪CRITICAL研究(2012-2019)から。支払い意思閾値S$45,000/QALY。1462例(平均57歳、男性87%)。基本解析でICER $34,320/QALY、正味便益$8,532。65歳未満に限定してもICERは同様($33,469)。搬送10分延長でICERは閾値をやや超過($47,158)。

PICO

  • P: ショック可能リズムの非外傷成人OHCA(シンガポール、1462例モデル)
  • I: ECPR戦略導入
  • C: 従来の通常CPRのみ
  • O: ICER $34,320/QALYで費用対効果あり。ただし搬送時間延長に感受性

すでに知られていること: ECPRは一部OHCAで有望だが、医療システムでの費用対効果は地域差があり不明確だった。
本研究で明らかになったこと: シンガポールではECPRは年齢閾値を変えても費用対効果的だが、搬送遅延に脆弱。実装研究が必要。


Annals of Intensive Care(IF 5.5)

1. 呼吸努力パラメータが呼吸不全患者の転帰に及ぼす影響(Effort-I、前向き観察)

Ann Intensive Care (IF 5.5) | PMID 42388558 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42388558/ | 2026 🔓無料全文

和訳アブストラクト
人工呼吸中の過剰/不足な呼吸ドライブ・吸気努力は、患者自己誘発性肺傷害や横隔膜廃用を介し転帰を悪化させうる。急性呼吸不全の成人でベッドサイドの呼吸ドライブ・努力指標が転帰と関連するか評価。18–75歳、PaO2/FiO2>150で侵襲的人工呼吸を要する206例を対象。気道閉塞圧P0.1、Pocc、算出Pmus・算出ΔPL(経肺駆動圧)を最初の48時間で測定。主要評価は28日人工呼吸フリー日数(VFD)。好ましい範囲内(P0.1 1.5–3.5、Pmus 5–10、ΔPL≤20 cmH2O)の患者はVFDが多い。多変量Coxで算出ΔPL>20 cmH2Oは28日死亡増と独立に関連(HR 6.57、95%CI 2.29–18.86、P<0.001)。低・高P0.1も死亡と関連(HR 3.75・4.81)。

PICO

  • P: 急性呼吸不全で人工呼吸中の成人206例
  • 曝露: 呼吸ドライブ・努力指標(P0.1、Pmus、ΔPL)
  • O: 好ましい範囲内でVFD増・死亡減。ΔPL>20が死亡と最強関連(HR 6.57)

すでに知られていること: 過剰/不足な呼吸努力は肺・横隔膜傷害を招くが、ベッドサイド指標と転帰の関連は不十分だった。
本研究で明らかになったこと: 早期の呼吸ドライブ・努力が生理的範囲内だと転帰良好。算出ΔPLのモニタリングを支持。

2. 人間開発指数と高齢重症患者の転帰(欧州多施設研究)

Ann Intensive Care (IF 5.5) | PMID 42388557 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42388557/ | 2026 🔓無料全文

和訳アブストラクト
高齢者はICU入室の増加割合を占めるが、国レベルの人間開発と重症病態後の転帰の関係は不明。前向き多施設レジストリ(VIP1・VIP2・COVIP)の二次解析。Clinical Frailty Scale・国レベルの人間開発指数(HDI)・30日生死が揃う高齢ICU患者を対象。主要曝露はHDI≥0.90 vs <0.90、主要転帰は30日死亡。9920例中、83.9%がHDI≥0.90国。30日死亡は高HDI国で低い(40.0% vs 53.3%)。多変量補正後もHDI≥0.90は低死亡と関連(補正OR 0.49、95%CI 0.31–0.80、P=0.004)。連続モデルではHDI 0.10上昇ごとにOR 0.33。高HDI国での侵襲的人工呼吸使用の低さが関連を一部媒介する可能性。

PICO

  • P: 欧州の高齢重症患者9920例
  • 曝露: 国レベルのHDI≥0.90(例外的に高い人間開発)
  • O: 30日死亡低下(補正OR 0.49)。侵襲的換気使用の少なさが一部媒介

すでに知られていること: 高齢重症患者は増えるが、国レベルの人間開発と転帰の関係は不明確だった。
本研究で明らかになったこと: 高HDI国での治療は低30日死亡と関連。国レベルの発展とICU管理様式(特に換気)が差に寄与しうる(観察研究のため因果は慎重に)。


Journal of Intensive Care(IF 4.7)

1. 高齢敗血症患者の縦断的な免疫炎症プロファイルと死亡(多施設前向きコホート)

J Intensive Care (IF 4.7) | PMID 42401956 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42401956/ | 2026 Jul 04

和訳アブストラクト
高齢者は敗血症リスクが高いが、敗血症と非重症感染を区別する免疫炎症的特徴とその予後的意義は不明。60歳以上1,851例(健常対照・非重症感染・敗血症)で免疫細胞・サイトカイン・補体・一般検査を評価。敗血症は循環リンパ球・T細胞・CD8+T細胞・NK細胞の低下とIL-6・IL-8・IL-10高値で特徴づけられ、年齢・性・併存で補正後も持続。非生存者はSOFA・IL-6・IL-10が高くリンパ球・T細胞・CD8+・NK・C3が低い。多変量Coxで1日目SOFA高値とIL-10が院内死亡増、NK細胞高値が死亡低下と関連。

PICO

  • P: 60歳以上の感染スペクトラム1,851例(敗血症816例)
  • 曝露: 免疫炎症プロファイル(細胞性免疫・サイトカイン)
  • O: 敗血症は細胞性免疫低下+サイトカイン高値。1日目IL-10・SOFAが死亡増、NK高値が死亡減と関連(観察研究)

すでに知られていること: 高齢者の敗血症の免疫炎症的特徴と予後的意義は十分定義されていなかった。
本研究で明らかになったこと: 高齢敗血症は細胞性免疫低下とサイトカイン高値のパターンを示し、ICU 1日目から明瞭。因果は示さない。

2. アデノシン5'-一リン酸がAMPK活性化とIL-1β抑制で敗血症関連筋萎縮を防ぐ(動物・トランスレーショナル)

J Intensive Care (IF 4.7) | PMID 42401936 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42401936/ | 2026 Jul 04

和訳アブストラクト
敗血症関連筋萎縮(SAMW)は回復後も長期の機能低下を招く。AMP(アデノシン一リン酸)はAMPK経路を介し臓器保護効果をもちうる。マウス盲腸結紮穿刺モデルにAMP(0.5 mg/g)or 生食を腹腔内投与。in vitroでC2C12筋芽細胞・RAW264.7マクロファージにAMP投与。AMPは敗血症誘発の炎症性サイトカインを抑制し、mTORC1活性化を抑えAMPKを調節して筋力・筋量を保持。in vitroでLPS誘発IL-1β産生を抑制し筋管萎縮を軽減、速筋型へシフト。敗血症患者血漿でも筋萎縮例で炎症性サイトカイン上昇。

PICO

  • P: 敗血症マウスモデル・培養細胞(+患者血漿で確認)
  • I: AMP投与
  • C: 生食/無処置
  • O: AMPK活性化・IL-1β抑制を介し筋萎縮軽減・筋力保持

すでに知られていること: SAMWは長期予後を損なうが、有効な治療標的は限られていた。
本研究で明らかになったこと: AMPがAMPK活性化・IL-1β抑制でSAMWを軽減する概念実証。臨床応用には更なる検証が必要。

3. 敗血症治療のアップデート(総説)

J Intensive Care (IF 4.7) | PMID 42387624 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42387624/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
敗血症・敗血症性ショックは高死亡・長期罹病を伴う世界的健康課題。近年のエビデンスは免疫調節異常・内皮機能障害・グリコカリックス分解を主要な病態機序として強調。臨床管理は画一的アプローチから、サブフェノタイプ・バイオマーカー・新規治療を統合した精密医療戦略へ進化。ガイドライン・トランスレーショナル研究・臨床試験のデータを統合し、現行管理と将来の方向性を包括的に展望する。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 敗血症の病態機序と精密医療的管理の最新動向)

すでに知られていること: 敗血症管理はバンドル中心の画一的アプローチが主だった。
本研究で明らかになったこと: サブフェノタイプ・バイオマーカー・新規治療を統合する精密医療への転換を整理。

4. 重症病態におけるフェロトーシスの臨床的意義(ナラティブレビュー)

J Intensive Care (IF 4.7) | PMID 42374546 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42374546/ | 2026 Jun 29

和訳アブストラクト
ICU管理の進歩にもかかわらず死亡は高く生存者の機能転帰も不良。機序に基づく革新的アプローチが必要で、制御性細胞死(RCD)が新たな標的となりうる。中でもフェロトーシス(鉄依存性・脂質過酸化による細胞死)が注目される。他のRCDと機序が異なり可逆性の可能性があるため、急性・動的病態で特に重要。敗血症・COVID-19・虚血再灌流傷害・神経救急でのフェロトーシスの役割を概説。多くは前臨床由来だが、臨床データもトランスレーショナルな可能性を示唆。検出・治療標的化の限界と、ICU精密医療への展望を論じる。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 重症病態におけるフェロトーシスの機序と治療標的としての可能性)

すでに知られていること: ICUの死亡・機能転帰は依然不良で、機序に基づく新戦略が求められていた。
本研究で明らかになったこと: フェロトーシスが敗血症・虚血再灌流などで臓器障害に寄与しうる標的として整理。臨床応用は検出・治療の課題が残る。


British Journal of Anaesthesia(IF 9.2)

1. 術中単回メサドンとQTc間隔(前向き観察コホート)

Br J Anaesth (IF 9.2) | PMID 42399190 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42399190/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
メサドンは周術期管理で使用が増えている。オピオイド使用障害や慢性痛に対する高用量メサドンはQTcを延長し危険な不整脈リスクを高めうる。周術期の単回メサドンのQTcへの影響を評価。全身麻酔の予定手術成人で、導入時にメサドン静注 or 非投与(多くはフェンタニル)を施行(術者判断)。オピオイド投与前と後1時間QTcをFridericia式で補正(QTcF)。主要評価はQTcF>500 msの新規発生。メサドン群(n=282、中央値20 mg)、非投与群(n=265、多くはフェンタニル250 μg)。新規QTcF>500 msはメサドン2.5% vs 非投与8.3%(RR 0.34、95%CI 0.16–0.75、P=0.009)。ΔQTcF>60 msも少ない(4.6% vs 12.1%)。メサドン用量とQTcF/ΔQTcFに相関なし。

PICO

  • P: 全身麻酔の予定手術成人547例
  • I: 導入時の単回メサドン静注(中央値20 mg)
  • C: 非投与(多くはフェンタニル)
  • O: 新規QTcF>500 msはメサドンで少ない(2.5% vs 8.3%、RR 0.34)。用量相関なし

すでに知られていること: 高用量・反復メサドンはQTcを延長し不整脈リスクを高める。
本研究で明らかになったこと: 導入時の単回メサドン静注はQTcFを延長せず、臨床的に意味あるQTc影響はない。周術期鎮痛での使用を後押し。

2. 小児麻酔におけるシプロフォールの母集団PK/PD解析と用量最適化

Br J Anaesth (IF 9.2) | PMID 42392886 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42392886/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
小児でのシプロフォール(ciprofol)のPK/PDを解明し、導入・維持用量の最適化の参考にする研究。心臓/胸部手術の小児88例(0.08–15歳、4.2–71.0 kg)でシプロフォール0.6 or 0.9 mg/kgで導入。機会的採血で濃度測定、母集団PK/PDモデルを構築。3歳未満ではBISと濃度の関係を効果部位コンパートメントモデルで特徴づけ。体重+経験的成熟過程を共変量とする2コンパートメントモデルが最適。推奨導入0.6 mg/kg。維持はBIS 40–60を目標に体重別で1.4(0–5 kg)/1.2(5–30 kg)/1.0(>30 kg)mg/kg/h。

PICO

  • P: 心臓・胸部手術の小児88例
  • I/曝露: シプロフォール(導入0.6/0.9 mg/kg、維持を体重別に最適化)
  • O: 導入0.6 mg/kg+維持1.0–1.4 mg/kg/hを推奨

すでに知られていること: シプロフォールは新しい静脈麻酔薬だが、小児の用量データは乏しかった。
本研究で明らかになったこと: 小児の導入0.6 mg/kg+体重別維持1.0–1.4 mg/kg/hを提示。3歳以上への外挿はPD類似を仮定し注意。

3. 保存的 vs 開放的酸素戦略の世界的な環境・地政経済的影響(生態学的国別解析)

Br J Anaesth (IF 9.2) | PMID 42386438 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42386438/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
保存的(SpO2 88–92%)と開放的(SpO2≥96%)酸素目標は臨床転帰が同等だが、世界的な環境・経済的影響は不明。2024年の200か国の集計データで生態学的解析。国別の電力網・酸素供給源と医療酸素のライフサイクル評価を統合し、酸素消費コスト(国際ドル)と温室効果ガス排出(ktCO2eq)を定量。保存的目標採用で世界の年間支出は180→76百万int$(Δ104百万)、排出は884→368 ktCO2eq(Δ516)に減少。ICUベッド当たり排出は東地中海・中央アジア・上位中所得国で最高。よりクリーンな電力網で酸素関連排出を49.4–91.9%削減可能。

PICO

  • P: 200か国の人工呼吸ICU患者(生態学的集計)
  • I: 保存的酸素目標(SpO2 88–92%)
  • C: 開放的酸素目標(SpO2≥96%)
  • O: 世界の酸素関連コスト・排出を大幅削減(費用−104百万int$、排出−516 ktCO2eq)

すでに知られていること: 保存的・開放的酸素目標は臨床転帰が同等とされる。
本研究で明らかになったこと: 保存的酸素戦略はコストと炭素排出を減らす。酸素スチュワードシップとエネルギー政策の連携が高インパクト。

4. 小児の術前鉄欠乏性貧血への経口鉄のHb反応(SAPSOS-2、南アフリカ多施設pre-post)

Br J Anaesth (IF 9.2) | PMID 42386436 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42386436/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
小児の術前貧血は罹病・死亡・輸血曝露増と関連。実践的な術前貧血パスウェイと、鉄欠乏性貧血(IDA)児の経口鉄へのHb反応(ΔHb)を評価した南アフリカ2施設のpre-post試験(2023年2月〜2025年3月)。6か月〜16歳未満をまずPOC毛細血管HemoCue®でスクリーニング。検査確定IDA児に経口鉄+選択的駆虫。主要評価ΔHb。術前HemoCue®で177/755(23.4%)がWHO閾値未満。確認検査175例中71例(40.6%)が貧血、うち39例(54.9%)がIDA、35例が追跡完遂。ΔHb中央値1.0 g/dL(IQR 0.5–1.8、P=0.001)。WHO貧血重症度は23/35(65.7%)で改善、17/35(48.6%)が貧血解消。

PICO

  • P: 予定非心臓手術のIDA児(南アフリカ、35例が追跡完遂)
  • I: 術前の経口鉄+選択的駆虫
  • C: pre-post(介入前後)
  • O: ΔHb中央値1.0 g/dL、約半数が貧血解消

すでに知られていること: 小児術前貧血は不良転帰と関連するが、資源限定環境の実践的管理法は不足していた。
本研究で明らかになったこと: 構造化した術前経口鉄パスウェイは実行可能でHbを中等度改善。資源限定環境での更なる評価を支持。

5. 静注鉄投与と有害事象管理:システマティックレビューとNATAコンセンサス勧告

Br J Anaesth (IF 9.2) | PMID 42379899 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42379899/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
静注鉄療法は鉄欠乏・鉄欠乏性貧血管理の確立した手段だが、有害事象への懸念からしばしば過少利用される。NATA(患者血液管理・止血血栓の推進ネットワーク)のコンセンサス勧告として、静注鉄の主要有害事象(過敏・輸注反応、低リン血症、血管外漏出、感染リスク)のエビデンスを総括。有害事象の診断・リスク軽減・患者説明・製剤選択の実践的推奨を提示し、貧血の治療・予防のための安全で効果的な静注鉄使用を最適化する。

PICO

  • 総説(コンセンサス)のためPICO非該当(テーマ: 静注鉄の有害事象と実践的管理勧告)

すでに知られていること: 静注鉄は有効だが有害事象への恐れから過少利用されがちだった。
本研究で明らかになったこと: 過敏・低リン血症・血管外漏出・感染リスクへの診断・軽減・製剤選択の実践的勧告を提示。


Anaesthesia(IF 6.9)

1. 心臓手術における肺動脈カテーテル vs 中心静脈カテーテル(PUMA Pilot RCT)

Anaesthesia (IF 6.9) | PMID 42366175 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42366175/ | 2026 Jun 28

和訳アブストラクト
肺動脈カテーテル(PAC)は心臓手術で広く使われるが、不良転帰との関連やルーチン使用に反対するガイドラインがある。十分な検出力のRCTはない。PUMA Pilotは3つの三次心臓手術施設の多施設・並行・非盲検パイロット/実現可能性試験。予測手術死亡<2%のCABG・大動脈弁置換・大動脈基部/上行大動脈手術の成人を、術直前にPACまたはCVC留置に無作為化。主要実現可能性アウトカムはプロトコル遵守(クロスオーバーなし)。480例スクリーニング、206例(43%)適格、150/203(74%)が同意。149例無作為化(PAC 76、CVC 73)、147例(99%)が割付通り。30日の生存・在宅日数中央値はPAC 23.7 vs CVC 22.9日。AKIはPAC 26/76(34%)vs CVC 14/73(19%)。

PICO

  • P: 低リスク心臓手術の成人149例
  • I: 肺動脈カテーテル
  • C: 中心静脈カテーテル
  • O: 本格RCTは実現可能。AKIはPAC群で数値上多い(34% vs 19%、パイロットで検出力なし)

すでに知られていること: PACはガイドラインがルーチン使用に反対するも心臓手術で広用され、十分な検出力のRCTがなかった。
本研究で明らかになったこと: PAC vs CVCの本格RCTは実現可能。AKIの数値差はあるが確証には大規模試験が必要。


European Journal of Anaesthesiology(IF 6.8)

1. 2026 ESAIC 集中治療医学の緩和戦略コンセンサス文書

Eur J Anaesthesiol (IF 6.8) | PMID 42397698 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42397698/ | 2026 Jul 06

和訳アブストラクト
化石燃料使用と汚染で大気中の温室効果ガス・環境汚染が増え続けている。集中治療医学(ICM)は高エネルギー需要・多数の使い捨て製品・多様な薬剤で気候危機・環境劣化に大きく寄与する。ESAICが欧州のICMの環境フットプリント削減のためのコンセンサス勧告を策定。4テーマ群(エネルギー・廃棄物管理・医薬品・倫理)が37勧告を起草。中・高所得国での実装のため合意閾値80%。20か国37専門家が2段階Delphiで検証、全勧告が2巡目で80%超(32勧告は90%超)。最終勧告:①再生可能エネルギーへの完全移行と省エネ、②調達最適化(10Rs)と使い捨てプラスチックの廃棄物管理、③医薬品(主にフッ素化ガス)由来の排出・水毒性削減とAMR防止、④環境倫理的な予防原則。

PICO

  • 総説(コンセンサス)のためPICO非該当(テーマ: ICMの環境フットプリント削減の実践的枠組み)

すでに知られていること: ICMは環境負荷が大きいが、欧州横断の体系的削減勧告はなかった。
本研究で明らかになったこと: エネルギー・廃棄物・医薬品・倫理の4領域で37の実装可能な勧告を提示。

2. 手術当日キャンセルの予測努力に関するシステマティックレビュー

Eur J Anaesthesiol (IF 6.8) | PMID 42383309 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42383309/ | 2026 Aug 01

和訳アブストラクト
予定手術の当日キャンセル(DOSC)は世界の予定手術の18%で起き、患者・医療システムに影響。正確な予測は大きな便益を生みうる。SWiM枠組みでの定性的統合。MEDLINE等を2013–2024年で検索。DOSC予測モデルの開発・検証・更新を扱う研究を対象、PROBASTでバイアス評価。7154研究から6研究を最終統合(計759,337手術、うち47,609キャンセル)。手法はロジスティック回帰・機械学習・空間回帰。最良の識別能(AUC)は開発0.75–0.92、検証0.70–0.74。1研究で地域調査データを組み込んだ空間回帰の較正が良好。

PICO

  • P: DOSC予測モデルを扱う6研究(759,337手術)
  • I/曝露: 各種予測モデル(ロジスティック・ML・空間回帰)
  • O: 中等度の識別能(検証AUC 0.70–0.74)だが研究間異質性大・較正報告限定

すでに知られていること: DOSCは頻繁で負担が大きく、予測の価値が期待されていた。
本研究で明らかになったこと: 既存モデルは中等度の識別能だが異質性が大きく較正が不十分。今後のモデル開発の基礎資料。

3. 精密麻酔:患者ケアのパラダイムシフト(総説)

Eur J Anaesthesiol (IF 6.8) | PMID 42383308 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42383308/ | 2026 Aug 01

和訳アブストラクト
21世紀の麻酔・手術はかつてなく安全で、世界で年3億件超の手術が行われ、予定非心臓手術の死亡率は0.5–1%。しかしこの指標は物語の一部にすぎない。近年、価値に基づく医療(VBHC)、患者中心アウトカム指標(PROMs)、患者報告経験指標(PREMs)が成功の指標として注目される。本総説は麻酔に関連する患者中心の精密ケアの現状を検討する。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 患者中心・精密麻酔とPROMs/PREMsの意義)

すでに知られていること: 周術期の成功は死亡・在院日数で測られてきたが不完全な指標だった。
本研究で明らかになったこと: VBHC・PROMs・PREMsを軸にした患者中心の精密麻酔への転換を展望。


Journal of Clinical Anesthesia(IF 5.1)

1. 末梢神経ブロックの局所麻酔薬の重炭酸ナトリウムによるアルカリ化(システマティックレビュー)

J Clin Anesth (IF 5.1) | PMID 42378735 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378735/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
局所麻酔薬のアルカリ化は非イオン型分画を増やす狙いだが、末梢神経ブロックでの発現時間・持続・質への臨床的利益は不確実。単回末梢神経ブロックで重炭酸アルカリ化 vs 非アルカリ化を比較した臨床研究を検索(2025年10月まで)。422件から18研究を採用。発現データが群間比較可能な16研究中13研究が少なくとも1つの指標でアルカリ化後の発現短縮を報告、感覚より運動発現で一貫。持続への効果は不均一、質は一貫せず。最終pH報告が不完全な研究が多く介入忠実度を制限。

PICO

  • P: 単回末梢神経ブロックを受ける患者(18研究)
  • I: 重炭酸ナトリウムによる局麻薬アルカリ化
  • C: 非アルカリ化溶液
  • O: 発現時間を短縮しうる(特にリドカイン・運動発現)が効果は可変・薬剤特異的、低〜中確実性

すでに知られていること: アルカリ化は理論上発現を早めるが、末梢神経ブロックでの臨床的利益は不確実だった。
本研究で明らかになったこと: 発現を早めうるが効果は薬剤特異的で可変。普遍的でなく選択的な適用を支持。

2. Stewart法と標準塩基過剰のハイブリッドモデルによるAI支援の動脈血ガス解釈

J Clin Anesth (IF 5.1) | PMID 42365735 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42365735/ | 2026 Jun 28

和訳アブストラクト
動脈血ガス(ABG)解釈は集中治療で必須だが、従来法は複雑な酸塩基異常をベッドサイドで十分特徴づけられない。分割標準塩基過剰(SBE)モデルは代謝性成分を分解する枠組みだが反復計算を要する。ChatGPTベースの枠組みで分割SBEモデルを用い、ICU患者1234例を主診断で層別化。ABG値・検査値・主診断を入力し、BECl・BEAlb・BELac・BEOtherを明示式で計算、グラフ化し、構造化コメント・管理提案を生成。2名の麻酔科医が評価。すべての分割SBE計算・分類を正しく再現。臨床コメント・管理提案は93.1%で一致(95%CI 91.6–94.4)。腎・代謝・敗血症群で96%超、血液・悪性腫瘍群で低め。

PICO

  • P: ICU患者1234例のABG
  • I: 分割SBEモデルを用いたChatGPTベースのABG解釈枠組み
  • C: 専門家(麻酔科医2名)の評価
  • O: 計算再現は完全、臨床コメント一致93.1%

すでに知られていること: 分割SBEモデルは有用だが反復計算を要し、ベッドサイドでの運用が煩雑だった。
本研究で明らかになったこと: 式で誘導するLLM枠組みが高い一致度でABGレポートを生成。補助的な教育・報告ツールの可能性(前向き検証は今後)。


Anaesthesia Critical Care & Pain Medicine(IF 4.7)

1. 鎖骨下静脈穿刺(鎖骨下アプローチ):標準エコーガイド vs 新規針ガイド装置(RCT)

Anaesth Crit Care Pain Med (IF 4.7) | PMID 42398765 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42398765/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
鎖骨下アプローチの中心静脈穿刺は内頸・大腿より感染・血栓合併症が約半分だが、技術的難しさから過少利用される。磁気針追跡がリアルタイムで手技成功・安全性を改善するかを検証。鎖骨下穿刺を要するICU患者を磁気針追跡 vs 標準エコーガイドに1:1無作為化。主要評価は合併症なしの初回穿刺成功。124例(平均60歳、73%人工呼吸)中120例完遂。初回穿刺成功は磁気追跡47/57(82.5%)vs 標準44/63(69.8%)(差+12.6%、p=0.053)。複合合併症は磁気追跡で減少(8.8% vs 22.2%、差−13.5%、p=0.044)。自発呼吸例(n=31)では主要アウトカムが大きく改善(85.7% vs 52.9%、p=0.058)。

PICO

  • P: 鎖骨下穿刺を要するICU患者124例
  • I: 磁気針追跡装置
  • C: 標準エコーガイド
  • O: 初回穿刺成功は有意差なし(p=0.053)だが機械的合併症・手技失敗の複合は減少(p=0.044)

すでに知られていること: 鎖骨下アプローチは合併症が少ないが技術的難しさで過少利用されていた。
本研究で明らかになったこと: 磁気針追跡は初回成功を有意には上げないが合併症を減らす。特に自発呼吸例で有望、確認試験が必要。

2. 小児のモバイル vs 施設内ECMO導入の転帰比較

Anaesth Crit Care Pain Med (IF 4.7) | PMID 42392265 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42392265/ | 2026 Jul 02

和訳アブストラクト
ECMOは高濃度酸素・高度換気・最適化にもかかわらず持続する低酸素/高二酸化炭素が生命を脅かす呼吸・心肺不全に適応。専門施設で導入する児と、地域病院で導入後にモバイルECMOチームが搬送する児の特徴・転帰を比較。2018–2025年に自施設PICUでECMOを受けた小児24例を後ろ向き解析。モバイル群15例(VV ECMO、地域病院から搬送、主にPARDS)で80%が退院生存。対照群9例(VVまたはVA)で78%生存。肝機能障害・腎不全はモバイル群47%・33%、対照群67%・44%で有意差なし。離脱成功・支持期間・ICU滞在・ICU死亡にも有意差なし。

PICO

  • P: ECMOを受けた小児24例
  • I: 地域病院での導入+モバイルECMO搬送
  • C: 専門施設での導入
  • O: 退院生存(80% vs 78%)など主要転帰に有意差なし

すでに知られていること: ECMO搬送体制の有効性は関心事だが小児データは限られていた。
本研究で明らかになったこと: ECMOは地域病院でベッドサイド導入し搬送しても安全。地域横断的モバイル支援ネットワークの有効性を確認。


Anesthesia and Analgesia(IF 3.8)

1. 麻酔研究に参加する患者の視点と経験(質的研究)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42390109 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390109/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
比較効果研究(麻酔臨床試験)への参加者の経験は試験デザイン・実施・アウトカム測定の改善に有用。TIVA vs 吸入麻酔(INVA)を比較する試験の参加障壁・促進因子を、CFIR構成概念を用いた半構造化面接で探索。91例に打診、43例が同意、35例で飽和まで面接。参加は肯定的・簡便・非侵襲的と受け止められた。障壁は調査言語・盲検化・無作為化・守秘への懸念、研究への恐れ・不信、技術への不快感。促進因子は両手法の安全性・非実験性、デジタル技術、時間負担の少なさ、スタッフの信頼・明確な説明、報酬。参加動機は利他的価値観。

PICO

  • P: 麻酔比較効果試験の対象患者35例(面接)
  • 曝露: 試験参加の障壁・促進因子(質的分析)
  • O: 明確な説明・信頼・安全性の強調・時間負担軽減・簡便な技術が参加を促す

すでに知られていること: 比較効果試験は説明的試験と課題が異なるが、参加者視点の検討は限られていた。
本研究で明らかになったこと: 快適さ・信頼・明確な説明・時間負担軽減が参加を促す。本格的な実践的RCTの設計に反映。

2. 硬膜外関連母体発熱が新生児転帰に及ぼす影響(組織学的絨毛膜羊膜炎を除外した症例対照)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42390098 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390098/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
分娩鎮痛中の母体発熱は感染性(絨毛膜羊膜炎)か非感染性(硬膜外関連母体発熱ERMF)に起因。絨毛膜羊膜炎は新生児転帰と関連するが、ERMF単独の影響は議論がある。組織学的絨毛膜羊膜炎を除外しERMFの新生児影響を評価。分娩鎮痛下の単胎正期産(2017年1月〜2023年7月)を対象。所定の基準(絨毛膜羊膜炎の臨床的疑い・前期破水・新生児仮死)で胎盤病理検査。傾向スコアマッチングで発熱(≥38℃)vs 非発熱を比較。186対。発熱群は破水〜分娩・分娩第1期・鎮痛時間が長く、胎児頻脈が多い(36.0% vs 10.7%、絶対差25.3%)。一方、臍帯動脈pH<7.2・低Apgar・NICU入室など有害新生児転帰とは無関連。長期発達も両群で正常範囲。

PICO

  • P: 分娩鎮痛下の単胎正期産(組織学的絨毛膜羊膜炎を除外、186対)
  • 曝露: 分娩中の母体発熱(≥38℃、ERMF)
  • O: 分娩遷延・胎児頻脈と関連するが、短期の有害新生児転帰・長期発達とは無関連

すでに知られていること: 分娩中の母体発熱は新生児転帰と関連しうるが、ERMF単独の影響は潜在的感染の混在で議論があった。
本研究で明らかになったこと: 組織学的絨毛膜羊膜炎を除外すると、ERMFは分娩遷延・胎児頻脈と関連するが有害新生児転帰とは無関連。

3. 南アフリカでの非心臓手術前の心血管併存治療のアドヒアランスに関する患者の信念と経験(混合研究)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42390096 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42390096/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
心血管併存は非心臓手術の周術期リスクを高め、服薬アドヒアランス最適化が重要だが、低中所得国(LMIC)では健康信念・システム障壁・コミュニケーションが課題。南アフリカの三次病院で、血管手術前に心血管薬を服用する21例に半構造化面接と4つの検証済み質問票(BIPQ、BMQ、SHARED、SURE)。多くが疾患を慢性(15/20、75%)・治療を有効(18/21、86%)と認識する一方、71%が高い懸念、43%が情緒的苦痛。服薬の必要性の信念は全員に強いが、67%が長期副作用を心配、47%が薬を「謎」と表現。共有意思決定は限定的(意見を尋ねられた記憶は33%のみ)。

PICO

  • P: 血管手術前に心血管薬を服用する南アフリカの患者21例
  • 曝露: 服薬アドヒアランスに影響する信念・経験(混合研究)
  • O: 必要性の信念は強いが懸念・情緒的苦痛が高く共有意思決定が乏しい

すでに知られていること: LMICでは術前の心血管薬アドヒアランスが低いが、その背景の探索は不十分だった。
本研究で明らかになったこと: 患者報告ツールは受容可能で、アドヒアランスに関わる複合的因子を可視化。術前の個別化・患者中心計画に有用。

4. 麻酔科学における医学教育研究の現状と将来(Anesthesia Research Council)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42385724 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42385724/ | 2026 Aug 01

和訳アブストラクト
麻酔科学の医学教育研究を支える戦略的介入がなければ、将来の麻酔科医の育成が損なわれうる。教育研究を強固で自立した学問分野へ発展させる包括的戦略が現状ない。Anesthesia Research Councilが教育リーダーの作業部会を招集し、麻酔科教育研究の将来を描いた。教育研究の資金・出版の現状、多様性・公正・包摂(DEI)を支える教育枠組みの統合、教育研究改善の提言の3点を検討。提言は①医師人材の多様化、②教育スタイルと学習環境、③卒後教育の質と説明責任、④文化的能力と交差性、⑤アドボカシー。

PICO

  • 総説のためPICO非該当(テーマ: 麻酔科学の医学教育研究の現状分析と発展のロードマップ)

すでに知られていること: 麻酔科教育研究を発展させる包括的戦略・メンター育成が不足していた。
本研究で明らかになったこと: 資金・出版の現状分析とDEI統合、協働・AI能力・資源の民主化を含む発展のロードマップを提示。

5. 股関節骨折術後死亡の予測因子の機械学習による同定・順位付け(豪NZ股関節骨折レジストリ)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42378696 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378696/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
股関節骨折は高齢者で高死亡・高罹病。術後1年死亡は22–36%で多くが基礎移動能を回復しない。統一的な生存予測枠組みでの各予測因子の相対的寄与は不明。機械学習で周術期予測因子を順位付け。豪NZ股関節骨折レジストリの11,000例超で、20の人口統計・臨床・周術期変数をRandom Survival Forest(RSF)で解析。追跡中央値630日で31%が死亡。RSFはC指標0.7305と良好。最重要4因子はASAグレード(重要度0.051)、既存認知症(0.036)、年齢(0.019)、入院前歩行能力(0.016)。男性(0.009)・急性期在院(0.006)は弱い。

PICO

  • P: 股関節骨折手術の高齢者11,000例超
  • 曝露: 20の周術期変数(RSFで重要度評価)
  • O: 死亡予測の上位はASA・認知症・年齢・移動能力

すでに知られていること: 股関節骨折術後死亡の予測因子は複数知られるが、統一枠組みでの相対寄与は不明だった。
本研究で明らかになったこと: ASA・認知症・年齢・移動能力が死亡の最重要予測因子。個別化リスク層別とゴール設定に有用。

6. 変時応答能と術中低血圧・昇圧薬必要量の関連(後ろ向きコホート)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42378508 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378508/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
変時性不全(CI=運動時に心拍数を十分上げられない)は心血管罹病・死亡と関連し周術期に多く、術前CPETで診断可能。CIが術中低血圧・昇圧薬使用に及ぼす影響は不明。術前CPET施行例(2020年1月〜2022年8月)の単施設後ろ向きコホート。CIは変時指数<0.8と定義。アウトカムは低血圧(MAP<65 mmHg)の時間加重平均と昇圧薬総量(フェニレフリン換算等)。195例中89例(46%)がCI。低血圧の時間加重平均はCIあり/なしで差なし(0.27 vs 0.37、P=.197)、フェニレフリン換算総量も差なし。メタラミノールはCIなし群で高用量(BH補正P=.034)。CI群は安静時・ピーク心拍・ピーク酸素消費が低い。

PICO

  • P: 術前CPET施行の手術患者195例
  • 曝露: 変時性不全(変時指数<0.8)
  • O: 術中低血圧の程度・昇圧薬必要量とは無関連

すでに知られていること: 変時性不全は心血管予後不良と関連するが、術中血行動態への影響は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 変時応答能は術中低血圧の程度・昇圧薬必要量と関連せず。周術期血行動態の複雑さを示唆。

7. 地域の機会と手術当日キャンセル後の遅延:小児外科的不平等の隠れた要因

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42378503 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378503/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
手術当日キャンセル(DOSC)は小児で多く社会的不利な家庭に偏る。キャンセル後の再予約の迅速さ・再キャンセルリスクの格差は不明。地域の機会(Child Opportunity Index、COI 3.0)とDOSC後転帰の関連を評価。三次小児病院で2017年1月〜2024年6月にDOSCを経験した18歳未満を後ろ向きコホート。主要転帰は当初予定日から12か月以内の手術完了。7015例(年齢中央値5歳、男児56.6%)。完了率は地域機会で差(log-rank P=.02)。早期には差がないが、90–180日で低〜非常に低い機会の地域で完了が遅れる。再キャンセルは8.2%で、低(補正RR 1.40)・非常に低い(1.51)機会の地域で多い。

PICO

  • P: DOSCを経験した小児7015例
  • 曝露: 地域の機会(COI 3.0、5分位)
  • O: 12か月完了率に強い関連はないが、完了の遅延・再キャンセルが低機会地域で増加

すでに知られていること: DOSCは社会的不利な家庭に偏るが、キャンセル後の経路の格差は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 低機会地域の児は再キャンセル・早期完了遅延が多い。完了タイミングが周術期の公正の新指標となりうる。

8. マスク換気中のリアルタイムPEEPモニタリングと無気肺への電気インピーダンストモグラフィ(RCT)

Anesth Analg (IF 3.8) | PMID 42378500 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42378500/ | 2026 Jul 01

和訳アブストラクト
高FiO2+陽圧マスク換気は導入時に無気肺を招き周術期肺合併症リスクを高める。PEEPは無気肺を減らしうるが、従来研究は導入前後の画像に依存した。EITをベッドサイドのリアルタイム画像として使用。予定眼科手術の成人72例で、FiO2 100%の導入時マスク換気中に3段階PEEP(0/5/8 mbar)の換気分布・血行動態への影響を評価。順序効果を制御するため昇順/降順に無作為化。主要評価はEITで検出する背腹側換気勾配(無気肺の指標)。高PEEPで背腹側換気勾配が有意に改善(0.48→0.56→0.63、p<.001)、呼気終末肺インピーダンスの利得/損失比増加(3.1→6.1→10.5、p<.001)、コンプライアンス利得/損失比増加(2.7→3.8→4.3、p=.011)。血行動態は導入後に低下するがPEEP依存でない。

PICO

  • P: 予定眼科手術の成人72例
  • I: 導入時マスク換気中のPEEP 5・8 mbar
  • C: PEEP 0 mbar
  • O: 高PEEPで換気分布・肺含気が改善、血行動態悪化なし

すでに知られていること: PEEPは導入時無気肺を減らしうるが、換気中のリアルタイム評価は乏しかった。
本研究で明らかになったこと: EITで、導入時マスク換気中の高PEEPが換気分布を改善し血行動態を損なわないことを実証。


Regional Anesthesia and Pain Medicine(IF 3.5)

1. エーラス・ダンロス症候群と複合性局所疼痛症候群の関連(全国クレームDB研究)

Reg Anesth Pain Med (IF 3.5) | PMID 42398975 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42398975/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
エーラス・ダンロス症候群(EDS)は関節不安定・反復外傷を特徴とする遺伝性結合組織疾患で、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を含む慢性疼痛と関連が示唆される。米国の大規模クレームDB(2017–2022 MarketScan)でEDS(ICD-10 Q79.6x)とCRPS(G90.5x等)の併存を評価。54,235,476例中、EDS 26,053例(0.05%)、CRPS 51,424例(0.09%)。CRPS記録割合はEDSあり1.05%(273/26,053)vs EDSなし0.09%で、約11倍高い(95%CI 9.89–12.51)。EDS+CRPS例は女性が96.7%と多く年齢中央値27歳。CRPSはtype 1が76.8%、下肢が最多(49.0%)。

PICO

  • P: 米国被保険者5,400万例超
  • 曝露: EDSの診断コード
  • O: CRPS記録割合が約11倍高い(EDSあり1.05% vs なし0.09%)

すでに知られていること: EDSは慢性疼痛と関連が示唆されていたが、CRPSとの関連の大規模定量は限られていた。
本研究で明らかになったこと: EDS患者はCRPS記録が約11倍多い。関連のさらなる検証を支持(コーディングに基づくシグナル検出)。


Canadian Journal of Anaesthesia(IF 3.3)

1. 帝王切開後の術後鎮痛への経穴刺激の効果(RCTのシステマティックレビュー・メタ解析)

Can J Anaesth (IF 3.3) | PMID 42380420 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42380420/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
経穴刺激は疼痛管理に用いられるが帝王切開後の術後痛への有効性は未確定。予定帝王切開後の急性痛への影響を評価。2025年1月まで多データベースを検索、RCTを対象に変量効果モデルでMDを推定、GRADEで確実性評価。2,911件から18 RCT(2,183例)を採用。偽刺激比で経穴刺激は6時間以内(MD −0.24)、6–12時間(−0.65)、12–24時間(−0.58)、24–48時間(−0.44)で疼痛スコア低下。対照比でも各時点で低下。確実性は中〜高。

PICO

  • P: 予定帝王切開の産婦2,183例(18 RCT)
  • I: 経穴刺激
  • C: 偽刺激/標準ケア
  • O: 疼痛スコアを小幅に低下(各時点でMD −0.24〜−0.65)

すでに知られていること: 経穴刺激は疼痛管理に用いられるが帝王切開後の効果は未確定だった。
本研究で明らかになったこと: 経穴刺激は帝王切開後の疼痛を小幅に低下させる補助的手段となりうる。至適な時期・手技は今後の課題。


Minerva Anestesiologica(IF 2.8)

1. 開腹手術の鎮痛への腹直筋鞘ブロック(システマティックレビュー・メタ解析・TSA)

Minerva Anestesiol (IF 2.8) | PMID 42383719 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42383719/ | 2026 Jun

和訳アブストラクト
開腹手術への腹直筋鞘ブロック(RSB)の有効性を評価。2025年6月までコホート研究とRCTを検索、メタ解析は正中開腹に限定。主要評価は術後1・12・24時間の安静時疼痛。15 RCT・9コホート(計1,638例)を採用。RSBは1時間の安静時疼痛をRCT(SMD −0.73、95%CI −1.24〜−0.22、P=0.005、I²=69%)・コホート(SMD −1.01)で低下。12時間(SMD −0.85、I²=24%)、24時間はプラセボ対照時のみ(SMD −0.67、I²=0%)で低下。比較対照・局麻投与法・手術緊急度が異質性の主因。

PICO

  • P: 正中開腹手術の患者1,638例(24研究)
  • I: 腹直筋鞘ブロック(RSB)
  • C: プラセボ/標準/他ブロック
  • O: 早期(1・12時間)の安静時疼痛を低下。ただし効果量は最小重要差を下回り臨床的意義は限定

すでに知られていること: RSBは開腹手術で用いられるが、有効性のエビデンス統合は限られていた。
本研究で明らかになったこと: RSBは正中開腹の早期鎮痛を提供するが、効果は控えめで異質性のため不確実。


Journal of Anesthesia(IF 2.7)

1. 未熟な術者による経口気管挿管:軟性気管支鏡をあらかじめ決めた深さまで挿入する有効性(RCT)

J Anesth (IF 2.7) | PMID 42397596 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42397596/ | 2026 Jul 03

和訳アブストラクト
気管支鏡挿管は困難気道に不可欠だが、特に経験の浅い麻酔科医には声門の視野確保が難しい。軟性気管支鏡をあらかじめ決めた深さまで挿入すれば挿管が容易になると仮説。麻酔下の50例を2群に無作為化し、未熟な麻酔科医が舌正中に沿って挿入(C群)または硬口蓋に沿って口角–耳珠間距離ぶんの所定深さまで挿入(S群)。主要評価は声門視認成功率。声門視認成功はS群24/25 vs C群17/25(P=0.02、差8–48%)。挿管成功もS群18/25 vs C群8/25(P=0.01)。視認までの時間はS群24秒 vs C群49秒(P=0.003)、無呼吸時間もS群81秒 vs C群120秒(P=0.004)と短い。

PICO

  • P: 麻酔下の成人50例(未熟な術者による気管支鏡挿管)
  • I: 硬口蓋沿いに口角–耳珠間距離ぶん所定深さまで挿入(S群)
  • C: 舌正中に沿って挿入(C群)
  • O: 声門視認成功(24/25 vs 17/25)・挿管成功(18/25 vs 8/25)が高く、視認・無呼吸時間が短い

すでに知られていること: 気管支鏡挿管は困難気道で有用だが、経験の浅い術者には声門視野の確保が難しかった。
本研究で明らかになったこと: 口角–耳珠間距離ぶん挿入することで声門視認・挿管成功率が上がる。未熟者の気管支鏡挿管の簡便なコツ。

2. GLP-1受容体作動薬リラグルチドがブピバカイン坐骨神経ブロックに及ぼす効果(ラットモデル)

J Anesth (IF 2.7) | PMID 42377486 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42377486/ | 2026 Jun 30

和訳アブストラクト
GLP-1受容体作動薬は神経保護・抗炎症作用をもつが、末梢神経ブロックの神経周囲アジュバントとしての役割は未検討。神経周囲リラグルチドがブピバカイン坐骨神経ブロックを延長し局所炎症を抑えるかをラットで評価。40匹を5群に無作為化。I群:神経周囲ブピバカイン単独。II・III群:ブピバカイン+リラグルチド(1.8 or 3.6 mg/kg)。IV群:リラグルチド単独。V群:ブピバカイン+全身リラグルチド。高用量神経周囲リラグルチドはブロック持続を延長(感覚170 vs 120分、p=0.009;運動160 vs 115分;固有感覚170 vs 115分)。全身投与では再現されず。組織学的に神経周囲炎症が軽減(p<0.001)、24時間で髄鞘障害なし。

PICO

  • P: ラット坐骨神経ブロックモデル(40匹)
  • I: 神経周囲リラグルチド+ブピバカイン
  • C: ブピバカイン単独/全身リラグルチド
  • O: 高用量神経周囲リラグルチドがブロックを用量依存的に延長し神経周囲炎症を軽減(髄鞘毒性なし)

すでに知られていること: GLP-1作動薬は神経保護・抗炎症作用をもつが、末梢神経ブロックのアジュバントとしては未検討だった。
本研究で明らかになったこと: 神経周囲リラグルチドがブピバカインブロックを延長し炎症を抑える概念実証。神経毒性・トランスレーショナル研究が必要。


その他(アブストラクトなし・一覧のみ 80件)

Lancet Respiratory Medicine

Intensive Care Medicine

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine

Critical Care

Chest

Critical Care Medicine

Annals of Intensive Care

British Journal of Anaesthesia

Anesthesiology

European Journal of Anaesthesiology

Journal of Clinical Anesthesia

Anesthesia and Analgesia

Regional Anesthesia and Pain Medicine

Canadian Journal of Anaesthesia

Minerva Anestesiologica

Journal of Anesthesia

Journal of Anesthesia, Analgesia and Critical Care


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