総合医学誌 全分野ダイジェスト(麻酔・集中治療以外) 2026-06-08

対象6誌(Lancet / NEJM / Nature Medicine / JAMA / BMJ / Ann Intern Med)/ 直近7日 / 要約55件・その他101件超

※ このダイジェストは総合誌の麻酔・集中治療以外の全分野をまとめたものです。麻酔・集中治療関連は別ファイル「週刊ダイジェスト」に収載しています。
周術期・ICUに関連しうる注目
GLP-1系が一斉公開: retatrutide(Lancet)・orforglipron(JAMA)・aleniglipron(Nat Med)・mazdutide(JAMA)。肥満・糖尿病で大幅減量。周術期の胃内容・誤嚥リスク管理に直結し、使用患者の増加に留意。
フィネレノン、CKD全般へ拡大: 非糖尿病CKD(NEJM)・糸球体疾患(JAMA)・3試験プール(Lancet)で腎・心保護。高K血症が増えるため周術期電解質管理に関連。
TRACK試験(JAMA): 進行CKDで低用量リバーロキサバンは心血管イベントを減らさず大出血を増やした(無効中止)。抗凝固の周術期判断材料。
daraxonrasib(NEJM): 既治療膵癌でOS 13.2 vs 6.6か月(HR0.40)。RAS阻害の画期的データ。
基底動脈閉塞へのtenecteplase 24時間以内(Ann Intern Med synopsis): 機能予後を改善。急性期脳卒中対応の参考に。

The Lancet(IF 98.4)

New England Journal of Medicine(IF 96.2)

3. CAR T細胞療法後の高度感作患者2例への腎移植

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NEJM (IF 96.2) | PMID 42235014 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42235014/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
第1相安全性導入コホート。CD19/BCMA標的CAR T細胞で抗HLA抗体産生細胞を除去し、高度感作(cPRA≥99.9%)候補2例に脱感作後に腎移植を実施。

PICO: 第1相安全性導入(2例)。テーマ=CAR T脱感作後の腎移植の安全性・有効性。
すでに知られていること: 高度感作例の脱感作は効果が一定せず持続しにくい。
本研究で明らかになったこと: CAR T細胞による脱感作後に腎移植が可能であった初期報告。

Nature Medicine(IF 58.7)

JAMA(IF 55.5)

1. 2型糖尿病でインスリングラルギンにorforglipron追加(ACHIEVE-5, 第3相)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42251769 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42251769/ | 2026 Jun 07

和訳アブストラクト
インスリングラルギン使用の2型糖尿病546例。経口orforglipron 3/12/36 mg vs プラセボ追加。40週HbA1c変化−1.58/−1.88/−1.82% vs −0.79%(全p<0.001)。体重も−2.6/−4.8/−5.4% vs +0.2%。低血糖は増えず。

PICO

  • P: グラルギンで不十分な2型糖尿病 546例
  • I: 経口orforglipron追加
  • C: プラセボ追加
  • O: HbA1c・体重(改善、低血糖増なし)

すでに知られていること: orforglipronのインスリン併用効果は未報告だった。
本研究で明らかになったこと: インスリン併用で血糖・体重改善、低血糖増なし。

2. 中国人肥満成人へのmazdutide 9 mg(GLORY-2, 第3相)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42251595 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42251595/ | 2026 Jun 07

和訳アブストラクト
中国人肥満461例。mazdutide(グルカゴン/GLP-1二重作動)9 mg週1回 vs プラセボ。60週体重変化−16.65% vs −1.50%(差−15.15%, p<0.001)。5%以上減量84.3% vs 33.1%。嘔吐53%・悪心47%。

PICO

  • P: 中国人肥満成人 461例
  • I: mazdutide 9 mg
  • C: プラセボ
  • O: 体重(大幅減、消化器有害事象多い)

すでに知られていること: 肥満は中国で重大な公衆衛生問題。
本研究で明らかになったこと: 臨床的に意味ある減量、ただし消化器有害反応。

3. インフレ抑制法のインスリン自己負担上限後のMedicare受給者の費用・使用

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42250272 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42250272/ | 2026 Jun 06

和訳アブストラクト
Medicare Part Dのインスリン使用者286万人。$35上限(2023)後、30日あたり費用は$22.95→$18.16(−21%)、年内変動も−48%。全体の使用は不変だが、高負担者で充填・服薬・継続が改善。

PICO

  • P: Medicareインスリン使用者 286万人
  • I(曝露): $35自己負担上限
  • O: 費用低下、高負担者で使用改善

すでに知られていること: 2023年に上限導入されたが影響は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 費用を低下・安定化し、従来高負担の人で使用を増やした。

4. 糸球体疾患によるCKDへのフィネレノン(FIND-CKDサブ解析)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42246414 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42246414/ | 2026 Jun 05

和訳アブストラクト
FIND-CKDの糸球体疾患903例(IgA腎症46%・FSGS24%・膜性10%)。総eGFRスロープ−3.50 vs −4.23/年(差0.73)。アルブミン尿42%減、腎不全/40%以上eGFR低下リスク低下(HR 0.74)。

PICO

  • P: 糸球体疾患によるCKD 903例
  • I: フィネレノン
  • C: プラセボ
  • O: eGFR低下・アルブミン尿・腎複合(改善)

すでに知られていること: 糸球体疾患CKDでの効果は不確実だった。
本研究で明らかになったこと: 糸球体疾患でも腎機能低下を抑制。

5. 進行腎不全への低用量リバーロキサバン(TRACK, RCT)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42240165 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42240165/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
CKD 4/5期・透析依存の高心血管リスク1,458例。リバーロキサバン2.5 mg×2 vs プラセボ。無効のため早期中止。主要複合(心血管死・MI・脳卒中・PAD)22.6% vs 20.7%(HR 1.09, p=0.46)。大出血8.8% vs 6.0%(HR 1.51, p=0.04)。

PICO

  • P: 進行CKD・高心血管リスク 1,458例
  • I: 低用量リバーロキサバン
  • C: プラセボ
  • O: 心血管複合(差なし)・大出血(増加)

すでに知られていること: 進行CKDでの抗血栓療法の効果は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 心血管イベントを減らさず出血を増やす。ルーチン使用を支持しない。

6. 実測GFRと推算GFRの有害アウトカムリスク

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42240159 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42240159/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
スウェーデン6,174例。実測GFR(イオヘキソール)。mGFR 60はmGFR 90に比べ全死亡(HR 1.21)・腎不全(HR 2.85)増。eGFRcr-cysはmGFRとの関連を最もよく再現、eGFRcrは過小・eGFRcysは過大評価。

PICO

  • P: 成人 6,174例
  • I(曝露): 実測/推算GFR
  • O: 全死亡・腎不全(mGFR 60で上昇)

すでに知られていること: 低eGFRは死亡・腎心イベント増と関連。
本研究で明らかになったこと: mGFR 60の閾値を支持。eGFRcr-cysが最も実測に近い。

7. 切除NSCLCへの術後nivolumab vs 経過観察(RCT)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42224490 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42224490/ | 2026 Jun 01

和訳アブストラクト
切除NSCLC 935例。術後nivolumab vs 経過観察。無益性で中止。ITTの無病生存中央値71.3 vs 68.8か月(HR 0.97)。PD-L1≥50%でも有意差なし(HR 0.86)。

PICO

  • P: 切除NSCLC(EGFR/ALK陰性)935例
  • I: 術後nivolumab
  • C: 経過観察
  • O: 無病生存(差なし)

すでに知られていること: 術前/周術期nivolumabはEFSを改善。術後単独は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 標準補助療法後の術後nivolumab追加は無病生存を改善せず。

8. 便潜血単独 vs H. pylori便中抗原併用の費用対効果

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42223961 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42223961/ | 2026 Jun 01

和訳アブストラクト
台湾のRCTに基づくMarkovモデル。FIT+H. pylori便中抗原検査はFIT単独より有効かつ低費用(dominant)、$2094/QALY節減。費用便益比5.08。有病率が主な決定因子。

PICO: 費用対効果モデル。テーマ=胃癌・大腸癌スクリーニングの併用 vs FIT単独。
すでに知られていること: H. pylori集団スクリーニングの経済価値は不確実だった。
本研究で明らかになったこと: 併用が費用対効果的(中等度有病率の高費用環境でも)。

9. 集団スクリーニング試験(cfDNA MCED)と癌診断遅延(横断研究)

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JAMA (IF 55.5) | PMID 42217468 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42217468/ | 2026 May 30

和訳アブストラクト
英NHS-Galleri試験参加地域とそうでない地域を比較。試験開始後6か月、参加地域で診断遅延率が上昇(差分の差3.4ポイント, p<0.001)。スピルオーバー効果を示す。

PICO

  • P: イングランド21地域
  • I(曝露): MCEDスクリーニング試験参加
  • O: 診断遅延率(参加地域で一時的に上昇)

すでに知られていること: 集団スクリーニング試験のスピルオーバー効果は考慮されにくい。
本研究で明らかになったこと: 試験参加が限られた医療資源へのアクセスに影響。将来の試験は監視を。


BMJ(IF 42.7)

2. 5歳未満・乳児・新生児死亡の世界的傾向 1990–2024と2030予測(モデル研究)

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BMJ (IF 42.7) | PMID 42242779 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42242779/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
2024年、5歳未満で推定490万人死亡(うち新生児230万)。最高はサブサハラアフリカ・南アジア。2015年以降低下が鈍化(5歳未満年率3.9%→1.5%)。60か国がSDG目標未達見込み。現傾向なら2025–30に2,730万人死亡の予測。

PICO: モデル研究。テーマ=5歳未満・新生児死亡の傾向と予測。
すでに知られていること: 小児死亡は大きく改善してきた。
本研究で明らかになったこと: 進歩が鈍化。新生児期と高死亡地域への投資が必要。

3. 5–19歳の死因の世界推計 2000–24(ベイズ多項ロジスティック)

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BMJ (IF 42.7) | PMID 42242773 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42242773/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
2024年の5–19歳140万死亡で、首位は交通外傷(113,138)、次いでマラリア・新生物。5–14歳は感染・周産期・栄養が約50%だが15–19歳では23%未満。15–19歳女性では自傷が最多、男性では交通外傷。

PICO: 二次データ解析。テーマ=5–19歳の死因別死亡。
すでに知られていること: 主要死因の低下は鈍化。
本研究で明らかになったこと: 小児がんや非感染性疾患など未優先死因への注力が必要。

4. 新生児・5歳未満の死因の世界推計 2000–24(ベイズ多項ロジスティック)

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BMJ (IF 42.7) | PMID 42242770 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42242770/ | 2026 Jun 04

和訳アブストラクト
2024年の5歳未満490万死亡で、首位は早産合併症(82万)、次いで下気道感染(66万)、分娩時関連(48万)、マラリア(45万)。2016年以降ほとんどの死因の低下が鈍化。

PICO: 二次データ解析。テーマ=新生児・5歳未満の死因。
すでに知られていること: 5歳未満死亡の低下が鈍化。
本研究で明らかになったこと: 早産合併症が最大死因。SDG目標達成には加速が必要。


Annals of Internal Medicine(IF 19.6)

以下1–7・9–11はACP Journal Clubの構造化抄録(他誌掲載の主要試験の批判的要約)です。タイトルが結論を示すため要点のみ記載します。