周術期・ICUに関連しうる注目
• ECMOの抗凝固:低用量UFH/治療用量LMWHが標準用量UFHに非劣性(RATE、蘭7 ICU・330例の非劣性RCT): VV/VA ECMO成人で、標準用量UFH(APTT基準2.0–2.5倍)に対し低用量UFH(1.5–2.0倍)と皮下LMWHが「重大出血+重大血栓塞栓+6か月死亡」の複合で非劣性。重大出血は低用量UFH 58%・LMWH 59% vs 標準65%と数値上少なく、血栓塞栓の増加なし。ECMO中の抗凝固目標の引き下げを支持する初の十分な検出力のRCT。PMID 42413523
• がん患者の肺塞栓除外にYEARSアルゴリズムはCTPA単独と同等に安全(Hydra、欧州21施設・698例の非劣性RCT): 活動性がん+PE疑いで、YEARS(項目+D-dimer+リスク依存CTPA)はCTPA単独に非劣性(90日症候性VTE/PE関連死:per-protocolで1.8% vs 5.5%)。22%でCTPAを回避。造影・被曝を要する検査を減らせる。PMID 42437322
• 中等度リスク肺塞栓へのUS支援カテーテル的血栓溶解(US-CDT)が7日の複合有害転帰を低減(Ann Intern Med、ACP Journal Club評): 抗凝固にUS-CDTを追加すると中等度リスクPEの7日以内の複合有害臨床転帰が低下(評された原著の結論)。PE治療戦略の検討材料。PMID 42407064
• 肥満治療薬の比較(BMJ、262 RCT・99,791例のNMA): 1年でチルゼパチド−14.9%・経口/皮下セマグルチド等が有意な減量。皮下セマグルチドのみ全死亡(RR 0.81)・心筋梗塞・心不全を低減。有害事象での中止・消化管症状は減量が大きい薬ほど多い。周術期のGLP-1受容体作動薬管理(誤嚥・胃排出遅延)を考えるうえで最新の効果・害の全体像。PMID 42419792
• 3世代セファロスポリン耐性腸内細菌菌血症にテモシリンがカルバペネムに非劣性(ASTARTÉ、西29施設・328例): 標的治療でテモシリン2g 8時間毎はカルバペネムに非劣性(臨床成功74% vs 73%)。カルバペネム温存の選択肢としてICUの抗菌薬適正使用に資する。PMID 42425122
The Lancet(IF 98.4)
1. 高齢患者に対する臨床試験の妥当性を高める(総説)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42431219 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42431219/ | 2026 Jul 10
和訳アブストラクト
高齢患者は臨床現場で最も急速に増える集団だが、異質で治療決定のエビデンスが乏しいことが多い。高齢患者への試験の妥当性を高める重要領域は、代表的な患者の選択と組入れ、適切な治療介入の選択、意味あるアウトカムの研究である。過去10年で多数の推奨が示されたが取り込みは遅い。それでも、高齢患者を包含し、関連するアウトカムを扱い、実臨床での介入効果の比較を可能にする試験の設計・実行が可能であることを示す優れた実装アプローチが登場している。異なるデータ源に基づく観察研究も有用な補完情報を加える。高齢患者への試験の妥当性を高めるベストプラクティスと成功戦略を統合する。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 高齢患者を包含する臨床試験の設計)
すでに知られていること: 高齢患者は試験で過小代表で、治療決定のエビデンスが乏しかった。
本研究で明らかになったこと: 包含・アウトカム選択・実装のベストプラクティスを統合し、実行可能性を示す。
2. 3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科菌血症へのテモシリン vs カルバペネム(ASTARTÉ、西・第3相非劣性RCT)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42425122 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42425122/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
カルバペネムに代わる3世代セファロスポリン耐性腸内細菌科(3GCR-E)治療が急務。テモシリンは軽視されてきた狭域β-ラクタム。3GCR-E菌血症の標的治療でテモシリンがカルバペネムに非劣性かを検討した西29施設・第3相・非盲検・非劣性・実践的RCT。メロペネム/テモシリン感受性の単一菌種3GCR-E菌血症の成人を、テモシリン(2g 8時間毎)またはメロペネム(1g 8時間毎、適切ならエルタペネム1g/日)に割付。主要評価は臨床成功(28日までの治癒・薬剤変更不要・非再発・生存)。328例(mITT)を解析。臨床成功はテモシリン74%(120/163)vs カルバペネム73%(121/165)(差0.3%、95%CI −7.7〜∞、非劣性p=0.017)。重篤有害事象はテモシリン19% vs カルバペネム24%。テモシリンはカルバペネムに非劣性で、安全な代替を支持。
PICO
- P: 3GCR-E菌血症の成人328例
- I: テモシリン2g 8時間毎
- C: カルバペネム(メロペネム/エルタペネム)
- O: 臨床成功で非劣性(74% vs 73%)
すでに知られていること: 3GCR-E菌血症にカルバペネムが用いられるが、耐性選択圧の低減が課題だった。
本研究で明らかになったこと: テモシリンがカルバペネムに非劣性。カルバペネム温存の有効・安全な選択肢。
3. 既治療CLL/SLLへのピルトブルチニブ+VR固定期間 vs VR(BRUIN CLL-322、第3相)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42425121 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42425121/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
共有結合BTK阻害薬後のベネトクラクス-リツキシマブ(VR)は再発CLL(SLL含む)の固定期間の標準治療。非共有結合BTK阻害薬ピルトブルチニブをVRに追加した固定期間レジメンを評価した22か国152施設の非盲検第3相RCT。639例をPVR(321)またはVR(318)に割付。中央値27.3か月で、PVRはVRよりIRC評価の無増悪生存を有意に改善(HR 0.547、95%CI 0.400–0.748、p=0.0001)。24か月PFS率87% vs 72%。共有結合BTK阻害薬既治療例でも一貫。grade≥3有害事象は同様。grade≥3腫瘍崩壊症候群はPVRで低い(1% vs 4%)。心房細動はいずれも低頻度(3%)。PVRは再発CLLの新たな標準治療候補。
PICO
- P: 既治療CLL/SLL 639例
- I: ピルトブルチニブ+VR(PVR)
- C: VR
- O: 無増悪生存を有意に改善(HR 0.547、24か月PFS 87% vs 72%)
すでに知られていること: BTK阻害薬後のVRが固定期間標準だが、さらなる改善余地があった。
本研究で明らかになったこと: PVRがVRよりPFSを有意に延長。新たな固定期間標準治療候補。
4. すべての政策に子どもを:子どもと将来世代の健康・幸福を促す世界的協働からの教訓(総説)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42425114 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42425114/ | 2026 Jul 11
和訳アブストラクト
現在、子どものニーズ・視点・権利は公共政策に十分含まれず、子どもと将来世代の健康・幸福に負の影響がある。2020年のWHO-UNICEF-Lancet委員会は、持続可能な未来のためすべての政策で子どものニーズと声を中心に置くべきと結論した。2021年以降、Children in All Policies 2030が委員会の勧告を実装し、参加型・部門横断的な政策形成を促してきた。実装は、支配的な政策モデルの誤った前提、子どもの参加権の未達、部門横断的統合の乏しさといった課題に直面した。政策形成・実装を改善する8つの教訓が得られた。子どもと将来世代への配慮を活かし子どもの声を関与させることは、開発目標達成とより健康で持続可能な未来のための強力な政治的機会である。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 子ども中心の部門横断的政策形成)
すでに知られていること: 子どものニーズは政策に十分反映されず、健康・幸福に負の影響があった。
本研究で明らかになったこと: 参加型・部門横断的政策形成を改善する8つの実践的教訓を提示。
5. 全身性ALアミロイドーシス・ATTRアミロイドーシス:治療の進歩と今後(総説)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42419329 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42419329/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
かつて急速に致死的で治療選択のなかった全身性アミロイドーシスは、今や高度に治療可能になった。トランスサイレチン(ATTR)の誤折り畳み・凝集の分子機序の解明が薬剤開発を促し、2018年以降6つの新規治療が承認された。AL(軽鎖)アミロイドーシスには2021年にダラツムマブ+シクロホスファミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾンが承認。以降、二重特異性T細胞誘導抗体などの高度な免疫療法が再発ALで前例のない有効性を示す。疑わしい臨床像では早期に疑い、迅速な組織診断・蛋白タイピング・早期治療開始が重要。疫学・病態・診断と、承認済み・治験中の治療、今後の課題を概説する。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 全身性AL/ATTRアミロイドーシスの治療進歩)
すでに知られていること: アミロイドーシスは難治だったが、分子機序解明で治療が進歩してきた。
本研究で明らかになったこと: 6つのATTR新規治療とAL免疫療法の進歩を整理し、早期診断・治療の重要性を強調。
6. 体外生命維持(ECMO)における標準用量UFH vs 低用量UFHとLMWH(RATE、非劣性RCT)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42413523 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42413523/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ECMO患者では血栓リスク低減のためAPTT基準2.0–2.5倍を目標とする全量静注UFHが標準だが、これは低用量UFHと比べ血栓を減らさず出血を増やしうる。抗凝固目標は十分な検出力のRCTで検証されていなかった。低用量UFHまたは治療用量LMWHが標準用量UFHに非劣性かを検討した蘭7 ICUの非盲検3群非劣性RCT。全量抗凝固の必須適応(機械弁等)のないVV/VA ECMO成人を、標準用量UFH(APTT 2.0–2.5倍)・低用量UFH(1.5–2.0倍)・皮下LMWHに割付。主要評価は「ECMO中の重大出血+重大血栓塞栓+6か月全死亡」の複合。330例(320例解析)。複合は標準81%(87/107)、低用量72%(78/108、差−9.1%、95%CI −20.3〜2.1)、LMWH 75%(79/105、差−6.1%、−17.2〜5.0)で両介入とも非劣性。重大出血は低用量UFH・LMWHで少なく(58%・59% vs 65%)、血栓塞栓の増加なし(10%・9% vs 11%)。6か月死亡は50%・42%・44%。低用量UFH・治療用量LMWHは標準用量UFHに非劣性で、ECMOの抗凝固目標の再考を支持。
PICO
- P: VV/VA ECMOの成人330例
- I: 低用量UFH(APTT 1.5–2.0倍)または治療用量LMWH
- C: 標準用量UFH(APTT 2.0–2.5倍)
- O: 重大出血+血栓塞栓+6か月死亡の複合で非劣性、出血は数値上減少
すでに知られていること: ECMOの抗凝固目標はRCTで検証されず、全量UFHが慣習だった。
本研究で明らかになったこと: 低用量UFH・LMWHが標準用量UFHに非劣性で、出血を減らしうる。目標引き下げを支持。
7. 遺伝性網膜変性:臨床表現型と新興治療(総説)
The Lancet (IF 98.4) | PMID 42409034 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42409034/ | 2026 Jul 06
和訳アブストラクト
遺伝性網膜変性は進行性視力低下をきたす多様な遺伝性疾患群。遺伝子検査の進歩で数百遺伝子の病的変異が明らかになり、その顕著な異質性と、生涯の良好な視力に必要な発達・恒常性過程の複雑さを示す。臨床像を概説し、主に影響を受ける網膜細胞型に基づく疾患カテゴリーを示し、遺伝子・細胞・オプトジェネティクス・埋込チップなどの新規治療を強調する。早期かつ正確な診断・協調的ケア・最適な視覚転帰のため、眼科専門家への迅速な紹介が不可欠。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 遺伝性網膜変性の表現型と新規治療)
すでに知られていること: 遺伝性網膜変性は多数遺伝子が関与し、治療選択が限られていた。
本研究で明らかになったこと: 遺伝子・細胞・オプトジェネティクス等の新興治療を整理し、早期紹介の重要性を強調。
New England Journal of Medicine(IF 96.2)
1. 淋菌感染予防のための髄膜炎菌Bワクチン(4CMenB、RCT)
N Engl J Med (IF 96.2) | PMID 42418797 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42418797/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
淋菌感染予防のワクチンは未承認だが、観察研究で4成分髄膜炎菌B(4CMenB)ワクチンが淋病リスクを下げうると示唆されていた。MSMを4CMenB 2回接種またはプラセボに1:1割付した多施設二重盲検RCT。全員が最近淋菌感染または感染性梅毒の診断があり、HIV陰性でPrEP中またはHIV陽性。2年間四半期ごとにSTIスクリーニング。主要評価はper-protocol集団での初回淋菌感染。587例を解析。淋菌感染発生率は4CMenB群48.1/100人年 vs プラセボ47.8/100人年(発生率比1.01、95%CI 0.80–1.26、P=0.97)、ワクチン有効率−0.5%。症状性・無症状性・部位別いずれも有効性を示さず。重篤有害事象は4CMenB 4.7% vs プラセボ2.8%。4CMenBは高リスクMSMの淋菌感染を低減しなかった。
PICO
- P: 淋病高リスクのMSM 587例
- I: 4CMenB 2回接種
- C: プラセボ
- O: 淋菌感染発生率に差なし(有効率−0.5%)
すでに知られていること: 観察研究で4CMenBが淋病を減らしうると示唆されていた。
本研究で明らかになったこと: RCTでは4CMenBは淋菌感染を低減しなかった。
2. 切除ALK陽性NSCLCへのエンサルチニブ(ELEVATE、第3相)
N Engl J Med (IF 96.2) | PMID 42418775 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42418775/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
ALK阻害薬は切除可能ALK陽性NSCLCに有望。第2世代ALK阻害薬エンサルチニブの安全性・有効性を、完全切除・術後化学療法後のステージIB–IIIB ALK陽性NSCLCで検討した第3相二重盲検RCT。エンサルチニブ225 mg 1日1回またはプラセボを24か月投与。主要評価はステージII–IIIBの無病生存。274例を1:1割付。24か月でステージII–IIIBの生存かつ無病割合はエンサルチニブ86.4% vs プラセボ53.5%(再発/死亡HR 0.20、95%CI 0.11–0.38、P<0.001)。全集団でも87.3% vs 57.2%(HR 0.20)。全生存データは未成熟。grade≥3有害事象はエンサルチニブ35.8%(最多は皮疹)vs プラセボ18.2%。
PICO
- P: 完全切除ステージIB–IIIB ALK陽性NSCLC 274例
- I: エンサルチニブ225 mg/日 24か月
- C: プラセボ
- O: 24か月無病生存を有意に改善(HR 0.20)
すでに知られていること: ALK阻害薬は切除可能ALK陽性NSCLCに有望だが、エンサルチニブの効果は不明だった。
本研究で明らかになったこと: エンサルチニブが術後無病生存を大幅に改善(HR 0.20)。
3. 後天性視床下部性肥満へのセトメラノチド(TRANSCEND、第3相)
N Engl J Med (IF 96.2) | PMID 42418774 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42418774/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
MC4R作動薬セトメラノチドは第2相で後天性視床下部性肥満に大幅な減量を示した。第3相で参加者を2:1でセトメラノチド(1.5–3.0 mg)またはプラセボ皮下投与に割付、用量漸増後52週投与。4歳以上・視床下部腫瘍/病変/損傷歴があり、BMIが年齢性別95パーセンタイル以上(18歳未満)または30以上(18歳以上)。主要評価は52週のBMI平均変化率。120例(セトメラノチド81、プラセボ39)、平均年齢19.9歳。52週のBMI変化はセトメラノチド−16.5% vs プラセボ+3.3%(P<0.001)、空腹スコアも−2.73 vs −1.45(P=0.009)。有害事象はセトメラノチド100%・プラセボ90%、重篤28% vs 8%。最多は皮膚色素沈着・悪心・嘔吐・頭痛。
PICO
- P: 後天性視床下部性肥満の4–66歳120例
- I: セトメラノチド1.5–3.0 mg皮下 52週
- C: プラセボ
- O: BMIを有意に低減(−16.5% vs +3.3%)、空腹感も改善
すでに知られていること: 視床下部性肥満は難治で、第2相でセトメラノチドが有望だった。
本研究で明らかになったこと: セトメラノチドがBMI・空腹感を有意に改善(第3相で確認)。
Nature Medicine(IF 58.7)
1. 再発膠芽腫への抗LAG-3(±抗PD-1)(第1相)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42432293 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42432293/ | 2026 Jul 10
和訳アブストラクト
LAG-3はT細胞疲弊に関わる免疫チェックポイントで膠芽腫(GBM)の治療標的候補。抗LAG-3抗体レラトリマブを単剤または抗PD-1ニボルマブと併用で再発GBMに投与した多施設・非盲検・第1相。46例(各コホート23例)。主要評価の安全性を満たし、最大耐用量は単剤レラトリマブ800 mg、併用160 mg/240 mg。治療関連grade 3–4は併用23例中6例、単剤では観察されず。ネオアジュバント投与は腫瘍内CD8+T細胞浸潤を増加。探索的に、ベースラインのインターフェロンシグナル亢進とT細胞クローナリティ増加が併用の持続奏効例に多かった。12か月全生存は単剤34.8%・併用52.2%(有効性評価は非設計)。LAG-3阻害のさらなる評価を支持。
PICO
- P: 再発膠芽腫46例
- I: レラトリマブ単剤または+ニボルマブ
- C: 逐次割付(第1相・有効性非設計)
- O: 安全性許容、CD8+T細胞浸潤増加、予備的な生存シグナル
すでに知られていること: LAG-3はGBMの治療標的候補だが臨床データが乏しかった。
本研究で明らかになったこと: 抗LAG-3(±抗PD-1)は安全で、免疫学的・予備的臨床シグナルを示す。
2. 医療システム学習が汎用神経画像モデルを可能にする(NeuroVFM)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42432292 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42432292/ | 2026 Jul 10
和訳アブストラクト
最先端AIはインターネット規模の公開データで進歩したが、私的な臨床データにアクセスできない。神経画像はMRI/CTの顔特徴による識別可能性のため公開領域で過小代表。最先端モデルは神経画像タスクで劣り、日常診療で生成される未整理データから直接学習する「医療システム学習」が高性能な汎用神経画像モデルを生むことを示す。524万件の臨床MRI/CTボリュームで訓練した視覚基盤モデルNeuroVFMを導入。脳の解剖・病態の包括的表現を学習し、放射線診断・レポート生成で最先端性能を達成。オープンソース言語モデルと組み合わせると、精度・臨床トリアージ・専門家選好で最先端モデルを上回るレポートを生成。幻覚所見・重大エラーを減らし、より安全な臨床意思決定支援を提供。
PICO
- 方法論研究のためPICO非該当(テーマ: 臨床データ学習による汎用神経画像基盤モデル)
すでに知られていること: 公開データ主体のAIは神経画像で性能が限られていた。
本研究で明らかになったこと: 臨床データ由来のNeuroVFMが放射線診断・レポート生成で最先端性能を達成。
3. KRAS-G12D阻害薬HRS-4642+化学療法の進行KRAS G12D膵癌(第1b/2相)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42426224 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42426224/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
KRAS G12Dは膵管腺癌(PDAC)の主要ドライバー。多くのKRAS-G12D阻害薬は経口小分子で消化管毒性・腫瘍曝露不足が課題だが、HRS-4642は高親和性・非共有結合の新規阻害薬。静注リポソームナノ粒子として腫瘍集積と標的阻害持続を高める設計。ナブパクリタキセル+ゲムシタビン(AG)との併用を進行KRAS G12D PDACで評価。68例スクリーニング、31例治療(未治療30)。第1b相で用量制限毒性なし。第2相で追跡中央値12.3か月、未治療30例の確定奏効率63.3%(95%CI 43.9–80.1)。grade≥3治療関連有害事象は90.3%で主に血液毒性(AG化学療法に一致)。中止・死亡に至る有害事象なし。有望な抗腫瘍活性と管理可能な安全性。
PICO
- P: 進行KRAS G12D膵癌31例(未治療30)
- I: HRS-4642+ナブパクリタキセル+ゲムシタビン
- C: 単群(第1b/2相)
- O: 確定奏効率63.3%、管理可能な安全性
すでに知られていること: KRAS G12Dは膵癌の主要標的だが、経口阻害薬は毒性・曝露が課題だった。
本研究で明らかになったこと: 静注HRS-4642+化学療法がORR 63.3%と有望。さらなる検討を支持。
4. パーキンソン病へのヒトES細胞由来ドパミン細胞(STEM-PD、第1/2相)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42426223 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42426223/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
パーキンソン病(PD)は黒質ドパミン神経の進行性喪失が特徴。幹細胞由来ドパミン前駆細胞の脳内移植は再生的治療となりうる。ヒト多能性幹細胞由来の凍結保存・既製ドパミン前駆細胞STEM-PDの第1/2相・非盲検・多施設試験の12か月安全性と中間有効性を報告。中等度PDの8人に2用量で両側被殻内移植(各コホート4人)、12か月免疫抑制。7人が12か月完了、1人が肺感染で死亡。細胞製剤に起因する重篤有害事象・移植誘発ジスキネジア・腫瘍形成なし。ヒト多能性幹細胞由来ドパミン前駆細胞移植の実施可能性と良好な安全性を支持(リスクは主に免疫抑制関連)。36か月まで追跡予定。
PICO
- P: 中等度パーキンソン病8人
- I: ヒトES細胞由来ドパミン前駆細胞(STEM-PD)両側被殻内移植
- C: 単群(用量漸増)
- O: 12か月で細胞製剤起因の重篤有害事象・腫瘍・移植誘発ジスキネジアなし
すでに知られていること: 幹細胞由来ドパミン細胞移植はPDの再生治療として期待されていた。
本研究で明らかになったこと: 既製ドパミン前駆細胞移植の実施可能性と良好な安全性を示す(早期相)。
5. 健康と疾患における生物学的加齢時計(総説)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42426219 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42426219/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
エピジェネティックな細胞リプログラミング・胸腺若返り・セノリティクスなど、ヒト加齢を遅らせる/逆転させる取り組みが進む。並行して、個人や臓器・組織・細胞の加齢速度を追跡する多様な指標「生物学的時計」が発見された。これらは、疾患高リスク者の同定、予防・早期発見の基盤、生活習慣や介入が加齢過程を修飾するかの判定など複数の用途をもつ。生物学的時計の進歩と、病態理解・疾病負担軽減・健康寿命延伸への貢献可能性を批判的に評価する。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 生物学的加齢時計の用途と限界)
すでに知られていること: 加齢を測る生物学的時計が多数開発されてきた。
本研究で明らかになったこと: 各時計の進歩・用途・限界を批判的に整理。
6. 2017–2021年の世界の乳癌生存推計(WHO Global Breast Cancer Initiative)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42420542 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42420542/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
WHO Global Breast Cancer Initiativeは2040年までに世界の乳癌死亡の意味ある低減を目指す。低中所得国では生存データが乏しい。WHOは194加盟国全体で2017–2021年に診断された女性の集団ベース年齢標準化5年純生存を推計。地域中央値は大きく異なり、アフリカ39.1%、東地中海61.0%、東南アジア66.3%、西太平洋81.1%、欧州84.0%、米州88.5%。持続する生存格差は世界的な不公平を反映し、診断・治療へのアクセス格差を縮める持続的取り組みが不可欠。
PICO
- P: 194加盟国の乳癌女性(2017–2021)
- I/曝露: 地域・国(アクセス格差)
- O: 5年純生存の地域中央値は39.1%(アフリカ)〜88.5%(米州)と大差
すでに知られていること: 低中所得国の乳癌生存データは乏しかった。
本研究で明らかになったこと: 世界の乳癌5年生存の大きな地域格差を定量化し、格差是正の必要性を強調。
7. ブタ肝異種移植との体外交差循環の縦断的マルチオミクス(脳死ヒトドナー)
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42414621 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42414621/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
遺伝子編集ブタ肝異種移植を用いた体外肝交差循環(ELC)は肝不全の橋渡し療法となりうる。以前、脳死ヒト4人で5回のELCを行い、重度血小板減少を認めた。異種肝は実質構造を保ち、免疫細胞浸潤と内皮へのIgM沈着を認めた。宿主-異種移植相互作用を調べるため、64血液サンプルのプロテオーム・リピドーム・メタボローム、25異種肝・3ヒト肝生検の空間トランスクリプトーム・組織学を実施。空間解析でヒト免疫細胞(主に炎症性マクロファージ・好中球)の進行性浸潤と、ブタKupffer様マクロファージ・T細胞の喪失を認めた。ヒト血小板は活性化ブタ内皮(時間とともにブタvWF発現増加)や免疫細胞・肝細胞と共局在。ELCはアポリポ蛋白合成・ビリルビンクリアランス・エネルギー代謝・解毒を支持した。異種肝の生体適合性改善に資する知見。
PICO
- 探索研究のためPICO非該当(テーマ: ブタ肝異種移植体外交差循環の宿主-移植片相互作用)
すでに知られていること: ブタ肝異種移植ELCは肝不全の橋渡しとして期待されるが、血小板減少などが課題だった。
本研究で明らかになったこと: マルチオミクスで免疫浸潤・補体動態・血小板減少の機序を解明し、生体適合性改善への示唆を提示。
8. 2024年キューバのOropoucheアウトブレイクの時空間拡散
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42414620 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42414620/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
Oropoucheウイルス(OROV)は2024年5月にキューバで報告され急速に国内拡散。2024年5–7月のRT-PCR陽性147例のうち39全ゲノムを解読。系統解析で全配列が、2023年以降ブラジルで広く循環する再集合系統(OROV BR-2015-2025)内の単系統クラスターを形成。系統地理解析で、キューバ亜系統は2024年2月初旬にブラジル・アクレ州からの単一導入に由来し、5月の同定まで潜在循環したと示唆。中央部で導入され西部・東部に二次伝播ハブを確立。OROVが南米を越えて拡散する能力を示す。
PICO
- 疫学・系統研究のためPICO非該当(テーマ: OROVの国際拡散)
すでに知られていること: OROVは南米の風土病とされてきた。
本研究で明らかになったこと: 単一導入からのキューバ拡散を解明し、南米を越えた拡散能を示す。
9. 二重特異性10E8.4/iMab広域中和抗体のHIV有無での第1相
Nat Med (IF 58.7) | PMID 42414619 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42414619/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
広域中和抗体(bnAb)はHIV予防・治療に有望。HIVエンベロープ膜近位外部領域に結合する10E8.4アームとCD4に結合するibalizumab(iMab)アームからなる二重特異性10E8.4/iMabのfirst-in-human第1相。静注または皮下投与。54人(HIV有無)が投与を受けた。治療関連の重篤有害事象・grade≥3なし。最多の誘発有害事象は圧痛(18.5%)・倦怠感(33.3%)・頭痛(22.2%)。HIV陽性9人中3人が輸注8–12日後に全身性皮疹を発症し9–16日で消退。安全性・忍容性の主要目的を達成。HIV治療・予防選択肢拡大に向けたさらなる研究を支持。
PICO
- P: HIV有無の成人54人
- I: 二重特異性10E8.4/iMab(静注/皮下)
- C: 一部プラセボ(部分無作為化)
- O: 安全性・忍容性を確認(重篤有害事象なし)
すでに知られていること: bnAbはHIV予防・治療に有望だが、この二重特異性抗体の臨床データはなかった。
本研究で明らかになったこと: 10E8.4/iMabの良好な安全性・忍容性を示し、さらなる開発を支持。
JAMA(IF 55.5)
1. がん患者の肺塞栓疑いの診断へのYEARSアルゴリズム(Hydra、非劣性RCT)
JAMA (IF 55.5) | PMID 42437322 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42437322/ | 2026 Jul 12
和訳アブストラクト
YEARSアルゴリズムは急性PEを安全・効率的に除外するが、がん患者での精度エビデンスは乏しく、現行ガイドラインは直接CTPAを推奨。活動性がん患者でのYEARS vs CTPA単独の安全性・効率を比較した非盲検・非劣性RCT(欧州6か国21施設、2019–2025)。活動性がん+急性PE疑いを、YEARS(項目・D-dimer・リスク依存CTPA)またはCTPA単独に1:1割付。主要評価はPE除外後90日の中央判定症候性VTE/PE関連死(per-protocol非劣性、上限マージン2.6%)。698例を無作為化、104例(15%)がベースラインでPE診断。PE除外例で主要転帰はper-protocol YEARS 1.8%(5/282)vs CTPA単独5.5%(15/273)(絶対差−3.7%、99.9%CI −8.8〜1.4、非劣性P=3.4×10⁻⁵)。YEARS群の22%(77/352)でCTPAなしに診断管理。陰性CTPAの割合に差なし。がん患者でYEARSはCTPA単独と同等に安全で、22%でCTPAを回避。
PICO
- P: 活動性がん+PE疑いの成人698例
- I: YEARSアルゴリズム(±リスク依存CTPA)
- C: CTPA単独
- O: 90日VTE/PE関連死で非劣性(1.8% vs 5.5%)、22%でCTPA回避
すでに知られていること: がん患者ではYEARSの精度が不明で、直接CTPAが推奨されていた。
本研究で明らかになったこと: がん患者でもYEARSはCTPA単独と同等に安全で、被曝・造影を減らせる。
2. 米国における単一供給源ブランド薬の処方集関連の保険拒否
JAMA (IF 55.5) | PMID 42424046 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42424046/ | 2026 Jul 09
和訳アブストラクト
処方集除外や事前承認・ステップ療法などの利用管理は薬剤費を減らすが適時の治療アクセスを制限しうる。単一供給源ブランド薬の初回調剤試行の拒否とその後の調剤を推計した全米・全支払者の後ろ向きコホート(2018年1月–2024年9月)。117万人・200万処方。68.0%が初回試行で支払われ、残りは処方集除外(14.8%)または事前承認/ステップ療法(17.2%)で拒否。処方集拒否は期間中67.4%増加(24.3%→40.7%)、拒否は取引所(48.7%)・メディケイドマネージドケア(49.8%)で最多。初回拒否の32%のうち、38.6%が90日以内に当該薬を調剤、48.4%が同治療クラスの薬を全く調剤せず。同薬/代替を最終的に受けた例で治療開始が平均12.2日遅延。処方集拒否は頻繁で、遅延・不調剤につながる。
PICO
- P: 単一供給源ブランド薬の初回調剤試行200万件
- I/曝露: 処方集除外・利用管理(事前承認/ステップ療法)
- O: 32%が拒否、約半数が同クラス薬を受けず、治療開始が平均12.2日遅延
すでに知られていること: 利用管理は薬剤費を減らすが、アクセスを制限しうると考えられていた。
本研究で明らかになったこと: 処方集拒否は増加傾向で、治療の遅延・欠如を頻繁にもたらす。
3. 難治性・肺限局のステージIV非小細胞肺癌への肺移植
JAMA (IF 55.5) | PMID 42418196 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42418196/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
薬物治療抵抗性・肺限局のステージIV NSCLCは進行性呼吸不全で死亡することが多い。肺移植は臓器レベルの疾患切除の可能性を提供するが、腫瘍学的懸念から従来は提供されなかった。移植を受けた患者の転帰と、薬物治療単独との生存を比較した前向き単施設レジストリ研究(404例)。難治性肺限局ステージIV NSCLC 98例のうち17例が移植、81例は適格だが非生物学的障壁で移植せず薬物治療。がんのない末期肺疾患の移植306例も含む。ステージIV NSCLCの1年全生存はKaplan-Meier推定で移植100.0%(死亡0)vs 薬物治療単独40.8%(52死亡)(絶対差59.2ポイント)。移植後1年生存はNSCLC 100% vs がんなし88.1%(差11.9ポイント)。延長追跡で移植17例中2例が死亡。選択された難治性肺限局ステージIV NSCLCで肺移植の早期生存は良好。
PICO
- P: 難治性・肺限局ステージIV NSCLC 98例(移植17 vs 薬物81)
- I: 肺移植
- C: 薬物治療単独
- O: 1年全生存100% vs 40.8%(早期生存良好)
すでに知られていること: 肺限局ステージIV NSCLCへの肺移植は腫瘍学的懸念で提供されてこなかった。
本研究で明らかになったこと: 選択例で肺移植の早期生存は良好。長期追跡・QOL評価が必要。
4. アルコール関連肝疾患(総説)
JAMA (IF 55.5) | PMID 42406571 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42406571/ | 2026 Jul 06
和訳アブストラクト
アルコール関連肝疾患(ALD)は肝関連の罹病・死亡の主因で、欧米の肝移植の最多適応。米国のALD関連死は1999年の10万人あたり6.7から2022年12.5へ増加。ALDは女性で1日20 g超、男性で30 g超の長期飲酒で発症しうる(1標準ドリンク=エタノール14 g)。可逆的脂肪肝、脂肪肝炎、線維化(肝硬変・門脈圧亢進・非代償・肝細胞癌)を含む。進行危険因子は飲酒量・期間、女性、高齢、肥満、2型糖尿病、代謝症候群、喫煙、ウイルス肝炎、特定遺伝子変異。90%は無症状か非特異的。非侵襲的線維化検査(FIB-4等)と二次検査(肝硬度測定・ELF等)が早期診断・線維化評価に有用で、線維化重症度が最強の予後予測因子。アルコール断酒が第一治療で、肝硬変での断酒は肝関連死(調整HR 0.43)・全死亡(0.45)低下と関連。重症アルコール性肝炎・非代償性肝硬変では肝移植評価を考慮。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: アルコール関連肝疾患の診断・管理)
すでに知られていること: ALDは肝移植の主因だが、死亡が増加傾向にあった。
本研究で明らかになったこと: 非侵襲的線維化評価と断酒を中心に、診断・治療・移植適応を整理。
BMJ(IF 42.7)
1. 過体重・肥満成人への薬剤の比較効果:SR・ネットワークメタ解析
BMJ (IF 42.7) | PMID 42419792 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42419792/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
過体重・肥満成人への薬剤の比較利益・害の最新エビデンスを提供するSR・NMA。24アウトカムを頻度論・ベイズ用量反応モデルとGRADEで評価。2025年11月までの12週以上のRCT。262試験・99,791例・19薬剤。生活習慣改善単独と比べ1年で、中〜高確実性でチルゼパチド(平均差−14.9%)、カグリセマ(−14.8%)、経口セマグルチド(−10.9%)、オルフォルグリプロン(−9.9%)、皮下セマグルチド(−9.8%)、フェンテルミン-トピラマート(−8.1%)が大幅減量。新興薬(エクノグルチド・マズドゥチド・レタトルチド)は同等以上(13.1–14.6%、低確実性)。有害事象での中止はオルフォルグリプロン・ナルトレキソン-ブプロピオン・リラグルチド等で最高(RR 1.9–4.2)。皮下セマグルチドのみ全死亡(RR 0.81)・心筋梗塞(0.72)を低減、心不全も皮下セマグルチド・チルゼパチドで低減。QOLは有意に改善する薬剤なし。減量が大きいほど害・中止も大きい傾向。
PICO
- P: 過体重・肥満の成人99,791例(262 RCT)
- I: 各種肥満治療薬(GLP-1系等19薬剤)
- C: 生活習慣改善・プラセボ・他剤
- O: チルゼパチド等で大幅減量。皮下セマグルチドのみ死亡・MI低減。QOL改善は乏しい
すでに知られていること: 肥満治療薬は多数あるが、比較効果・心血管利益・害の統合が求められていた。
本研究で明らかになったこと: 減量幅は薬剤で異なり害も伴う。心血管利益は皮下セマグルチドに限られ、QOL改善は乏しい。
2. 英NHSの7つの胎児発育曲線によるSGA判定:320万出生の集団コホート
BMJ (IF 42.7) | PMID 42419785 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42419785/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
英国で使用中の胎児体重評価基準のスクリーン陽性率を調べた集団コホート。2015–2025年の単胎320万人。7基準でのSGA(<3・<10パーセンタイル)・LGA(>90・>97)率を比較。SGA(<10)率は基準で大きく異なり、IG21-2017の5.5%〜FMFの18.7%。LGA(>90)率はHadlockの4.9%〜IG21-2017の17.7%。調整不能な基準ほどSGA率の幅が広く、地域の民族・母体体重を反映。個別化GROW基準はSGA 13.4%・LGA 8.4%で、地域間のSGA率の幅が最も狭い(11.6–15.2%)。画一的な発育曲線は母集団の出生体重分布を反映せず、小さい/大きい胎児を系統的に見逃す。各児の発育潜在能に基づく個別化基準が必要。
PICO
- P: 英NHSの単胎320万出生
- I/曝露: 7つの胎児発育基準
- O: 基準によりSGA率が5.5–18.7%と大差。個別化GROWが地域間で最も安定
すでに知られていること: 胎児発育曲線は複数あり、判定率のばらつきが懸念されていた。
本研究で明らかになったこと: 画一基準は小さい/大きい胎児を系統的に見逃し、個別化基準が必要。
3. 進行前立腺癌の全身療法の進歩(総説)
BMJ (IF 42.7) | PMID 42419784 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42419784/ | 2026 Jul 08
和訳アブストラクト
前立腺癌管理は過去20年で、転移検出・バイオマーカー特性化・治療の革新により改善した。高リスク生化学的再発、転移性ホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)にわたる進行病態の最新の進歩を概説。高リスク生化学的再発・mHSPCへのアンドロゲン受容体経路阻害薬の早期使用で転帰が改善。mCRPCは既治療・生物学的特徴で多様化。高度画像・ゲノムバイオマーカーが患者選択と個別化治療を改善。化学療法・PARP阻害薬・177Lu-PSMA-617の役割が確立/精緻化。長期生存に伴い、心・血液毒性や骨の健康など有害事象の理解・管理に焦点。
PICO
- 総説のためPICO非該当(テーマ: 進行前立腺癌の全身療法の進歩)
すでに知られていること: 前立腺癌治療は進歩したが、進行病態の統合的整理が求められていた。
本研究で明らかになったこと: AR経路阻害薬の早期使用・PARP阻害薬・177Lu-PSMAの役割と有害事象管理を整理。
Annals of Internal Medicine(IF 19.6)
1. 病院間搬送の転帰における遠隔医療の役割(システマティックレビュー)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407081 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407081/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
病院間搬送は適切なレベルのケアへのアクセスに不可欠だが、多くは回避可能で不要な資源使用・患者負担を生む。搬送検討患者での遠隔医療と搬送率の関連を検討したSR。33研究・609,188例。臨床・方法論的異質性のため構造化ナラティブ統合。遠隔医療は成人(17研究中13)・小児(5中4)で搬送率低下と関連し、臨床適応(内科9/14・外科6/7・急性期7/12)や地方(16中9)・都市(10中9)を問わず認められた。搬送率変化のばらつきは交絡調整・比較群定義・研究デザインの差による。死亡を評価した多くの研究(17中15)で遠隔医療は死亡の低下または不変と関連。遠隔医療は適切なトリアージを支援し回避可能な搬送を減らしうる(死亡への悪影響なし)。
PICO
- P: 病院間搬送検討の患者609,188例(33研究)
- I: 遠隔医療
- C: 通常ケア
- O: 搬送率低下と関連、死亡は低下または不変
すでに知られていること: 病院間搬送は多くが回避可能だが、遠隔医療の効果は不明確だった。
本研究で明らかになったこと: 遠隔医療は搬送率を減らし、死亡への悪影響はない。離島・遠隔地の搬送判断に示唆。
2. 遷延する短時間睡眠が体重・体組成に及ぼす影響(RCTのプール解析)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407080 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407080/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
睡眠不足は肥満と関連するが、慢性的な軽度睡眠不足の体重への因果効果は不明。1晩1.5時間の睡眠制限(SR)を6週継続した効果を、2つの無作為化クロスオーバー試験のプール解析で検討。習慣的睡眠7時間以上で心代謝リスクの高い成人95人。SR vs 十分睡眠(AS)で睡眠は78.4分/晩短縮。SRで体重(0.45 kg)・腹囲(0.52 cm)・全身容積(0.56 L)が増加。レプチンも上昇(2.03 ng/mL)。座位時間は17.2分/日増加。遷延する中等度の短時間睡眠は体重増加を招きうる。体重管理・心代謝疾患予防に睡眠戦略を組み込むべき。
PICO
- P: 心代謝リスクの高い成人95人
- I: 6週の睡眠制限(1.5時間/晩)
- C: 十分睡眠
- O: 体重0.45 kg・腹囲0.52 cm増、レプチン上昇
すでに知られていること: 睡眠不足は肥満と関連するが、慢性軽度制限の因果効果は不明だった。
本研究で明らかになったこと: 6週の中等度睡眠制限が体重増加を招く。体重管理に睡眠介入を考慮。
3. 心房細動:左心耳閉鎖(LAAC)は複合有効性でNOACに非劣性、3年で非手技関連出血を低減(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407079 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407079/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:心房細動でLAACは複合有効性アウトカムでNOAC療法に非劣性で、3年の非手技関連出血を低減した。
PICO
- P: 心房細動患者
- I: 左心耳閉鎖(LAAC)
- C: NOAC療法
- O: 複合有効性で非劣性、非手技関連出血を低減
すでに知られていること: NOACはAFの標準だが、LAACの位置づけは検討が続いていた。
本研究で明らかになったこと: LAACはNOACに非劣性で出血を減らしうる(評された原著の要点)。
4. COPD:BLISSスコアが2年の急性呼吸器入院リスクを予測(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407077 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407077/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:COPD成人でBLISSスコアが2年の急性呼吸器入院リスクを予測した。
PICO
- P: COPD成人
- I/曝露: BLISSスコア
- O: 2年の急性呼吸器入院リスクを予測
すでに知られていること: COPD増悪・入院の予測ツールが求められていた。
本研究で明らかになったこと: BLISSスコアが入院リスクを予測(評された原著の要点)。
5. 脳卒中・出血リスクのある心房細動:LAACは複合の血栓塞栓・安全性イベントで内科治療に非劣性でなかった(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407076 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407076/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:脳卒中・出血リスクのある心房細動で、LAACは血栓塞栓・安全性イベントの複合について内科治療に非劣性ではなかった。
PICO
- P: 脳卒中・出血リスクのある心房細動
- I: 左心耳閉鎖(LAAC)
- C: 内科(薬物)治療
- O: 複合の血栓塞栓・安全性イベントで非劣性を示せず
すでに知られていること: 抗凝固困難例へのLAACの位置づけは議論があった。
本研究で明らかになったこと: この集団でLAACは内科治療に非劣性でなかった(評された原著の要点)。
6. 患者中心の処方オピオイド漸減法(RCT)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407075 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407075/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
外来での長期処方オピオイド漸減のエビデンスが必要。3つの漸減・疼痛制御戦略の有効性を比較したRCT(米11施設)。6か月以上の疼痛でMEDD 10以上を3か月以上、中等度〜重度オピオイド使用障害のない成人。患者中心の漸減(綿密なモニタリング・電子支援)を、漸減のみ・漸減+慢性疼痛CBT・漸減+慢性疼痛自己管理(CPSMP)で実施。主要評価は漸減成功(MEDD 50%以上減で痛み増悪なし、またはMEDD不変で痛み軽減)。562例。漸減成功率は漸減のみ50.9%、+CBT 48.6%、+CPSMP 44.5%で、CBT・CPSMP追加の利益なし。研究関連有害事象(離脱症状含む)リスクは漸減のみ群が最高(66%)で、CBT追加(54%)が低い。CBT・自己管理の追加は漸減成功を改善しなかったが、CBTは有害事象(離脱症状)を減らしうる。
PICO
- P: 長期オピオイド使用の慢性疼痛成人562例
- I: 漸減+CBT または +自己管理
- C: 漸減のみ
- O: 漸減成功に差なし。CBTは有害事象(離脱症状)を減らしうる
すでに知られていること: 長期オピオイド漸減の外来エビデンスが乏しかった。
本研究で明らかになったこと: CBT・自己管理の追加は漸減成功を改善せず。ただしCBTは離脱症状を軽減しうる。
7. HIV-1:ビクテグラビル-レナカパビルが48週の抑制維持で複雑レジメン継続に非劣性(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407071 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407071/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:HIV-1で、ビクテグラビル-レナカパビルは48週のウイルス抑制維持について複雑レジメンの継続に非劣性だった。
PICO
- P: ウイルス抑制中のHIV-1成人
- I: ビクテグラビル-レナカパビル
- C: 複雑レジメンの継続
- O: 48週のウイルス抑制維持で非劣性
すでに知られていること: 複雑レジメンの簡素化ニーズがあった。
本研究で明らかになったこと: 2剤レジメンが抑制維持で非劣性(評された原著の要点)。
8. 喘息:マクロライドがプラセボ/標準治療より≤48週の重症増悪を減らし症状制御を改善(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407070 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407070/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:喘息患者でマクロライドはプラセボ/標準治療に比べ48週以内の重症増悪を減らし症状制御を改善した。
PICO
- P: 喘息患者
- I: マクロライド
- C: プラセボ/標準治療
- O: ≤48週の重症増悪を減らし症状制御を改善
すでに知られていること: マクロライドの喘息への効果は関心を集めていた。
本研究で明らかになったこと: マクロライドが重症増悪を減らし症状を改善(評された原著の要点)。
9. 肝硬変におけるカルベジロール vs 他の非選択的β遮断薬の比較効果
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407069 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407069/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
肝硬変で非選択的β遮断薬(NSBB:カルベジロール・ナドロール・プロプラノロール)は門脈圧を下げ非代償予防に有益。カルベジロールが好まれるが、他NSBBとの直接比較エビデンスは限られる。米administrative claims(2013–2025)でカルベジロール・ナドロール・プロプラノロール開始例を比較したコホート。主要評価は主要非代償(腹水・SBP・肝腎症候群・肝性脳症・静脈瘤出血)による入院の複合。129共変量で調整(IPTW)。カルベジロール開始例は6か月の主要非代償リスクがナドロール(RD −3.69ポイント、RR 0.80)・プロプラノロール(RD −2.88ポイント、RR 0.83)より有意に低い。静脈瘤出血・腹水/SBP/HRSでも低リスク。カルベジロール開始は主要非代償を有意に低減。
PICO
- P: 肝硬変でNSBB開始の成人
- I: カルベジロール
- C: ナドロール/プロプラノロール
- O: 6か月の主要非代償を有意に低減(RR 0.80/0.83)
すでに知られていること: カルベジロールが好まれるが、他NSBBとの直接比較が乏しかった。
本研究で明らかになったこと: カルベジロールが他NSBBより非代償を減らす(非無作為化のため因果は限定)。
10. 腸骨静脈閉塞を伴う中等度〜重度PTS:標準ケアへの血管内治療(EVT)追加でPTS重症度低下・出血増加(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407067 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407067/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:腸骨静脈閉塞を伴う中等度〜重度の血栓後症候群(PTS)で、標準ケアにEVTを追加すると6か月でPTS重症度が低下したが出血が増加した。
PICO
- P: 腸骨静脈閉塞を伴う中等度〜重度PTS
- I: 標準ケア+血管内治療(EVT)
- C: 標準ケア
- O: PTS重症度低下、出血増加
すでに知られていること: PTSへのEVTの効果は不明確だった。
本研究で明らかになったこと: EVT追加はPTSを軽減するが出血を増やす(評された原著の要点)。
11. 動脈硬化性心血管疾患:LDL-Cの強化 vs 従来目標で中央値3年の心血管イベント複合を低減(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407065 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407065/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:動脈硬化性心血管疾患で、LDL-Cの強化目標は従来目標に比べ中央値3年で心血管イベントの複合を低減した。
PICO
- P: 動脈硬化性心血管疾患の患者
- I: LDL-C強化目標
- C: 従来目標
- O: 中央値3年で心血管イベント複合を低減
すでに知られていること: LDL-C低下は有益だが、目標強度の是非が議論されていた。
本研究で明らかになったこと: 強化目標が心血管イベントを低減(評された原著の要点)。
12. 中等度リスク肺塞栓:抗凝固へのUS支援カテーテル的血栓溶解(US-CDT)追加で7日以内の複合有害転帰を低減(ACP Journal Club評)
Ann Intern Med (IF 19.6) | PMID 42407064 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42407064/ | 2026 Jul 07
和訳アブストラクト
ACP Journal Clubのエビデンス要約(本文は数式記号のみ)。表題が結論:中等度リスク肺塞栓で、抗凝固に超音波支援カテーテル的血栓溶解(US-CDT)を追加すると7日以内の複合有害臨床転帰が低下した。
PICO
- P: 中等度リスク肺塞栓の患者
- I: 抗凝固+US-CDT
- C: 抗凝固単独
- O: 7日以内の複合有害転帰を低減
すでに知られていること: 中等度リスクPEへのカテーテル的血栓溶解の位置づけは議論があった。
本研究で明らかになったこと: US-CDT追加が短期の有害転帰を低減(評された原著の要点)。